2024年8月30日金曜日

昔は川で遊んだものだが

                        
 私たちがふだん接している自然はほんの一部でしかない。家の庭、夏井川渓谷にある隠居の庭と周辺の森、通りすがりの田んぼや川……。

 そこに生きている動物や植物、あるいは森の菌類(キノコ)には関心があるが、深く知っているわけではない。

いつも専門家の知見やネットの助けを借りる。テレビや新聞が報じる情報にも目を留め、耳を傾ける。

 8月には2回、知らない自然の脅威に触れた。一つは特定外来生物の「ナガエツルノゲイトウ」が福島県内で初めて、いわきで発見されたというニュースだ=写真。

 いわき民報はたまたま、ニホンカモシカが中山間地だけでなく、市街地でも目撃されるようになった、という記事を併せて載せた。

 カモシカはともかく、特定外来生物の方は初耳だ。市内の水田と周辺の水路で初めて生息が確認されたという。

 この植物が繁殖すると農作物が減少し、農業機械の作業効率が低下するだけなく、水路をふさいで取水・排水に障害をもたらすという。

 ナガエツルノゲイトウは南米が原産で、水草なのに乾燥にも強い。刈り取っても、ちぎれた茎から簡単に再生・拡散する。「地球上で最悪の侵略的植物」だそうだ。

 アクアリウムなどの観賞用に導入されたあと、野外に逸出し、今では茨城県から西日本にかけて繁殖が確認されている。つまり、隣県から東北南部へと分布を広げつつあるわけだ。

 もう一つの脅威は、「川遊びで感染症?」という全国紙の記事だった。熊本県天草市で、高校生らが滝で川遊びをしていたあと、相次いで体調不良を訴えた。

 「川遊びで感染症になるケースは珍しくない。症例が多いのはレプトスピラ症」だとか。

「菌を持っているネズミなど野生動物の尿などで汚染された川で泳いだり水を飲んだりすると感染する危険性がある」

ただし天草の場合は、レプトスピラ症は考えにくいとあって、なんとも歯切れの悪い記事だった。

すると、4日後に続報が載った。熊本県は、ノロウイルスが原因の可能性が高い、とみているそうだ。

自然界に存在するだけでなく、生活排水や人間が持ち込んだ可能性もあるため、特定には至らなかったようだが、ノロウイルスとは、よく耳にするウイルスではないか。

 今は川岸に「危険 川で遊ぶな」の立て札があるが、私らが子どものころは、夏、川で水泳ぎをするのが普通だった。学校にはプールがなく、町営のそれもなかった。

 もう65年も前の話だから、若い人にはピンとこないだろうし、水泳ぎといっても、実態は水浴び、あるいは水遊びでしかなかった。

 水源に近い山里の川なので、流れはひざ下しかなかった。泳げるのは淵になっているところだけだ。

生ごみも川に流すのが当たり前のような時代だった。捨てられたガラス瓶のかけらで足の親指を切ったこともある。

それでも感染症などの話は聞いたことがなかった。なにか自然が、人間が昔とは違うステージに移ったということなのだろうか。

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