2024年8月20日火曜日

トンカツの日曜日

                      
 月遅れ盆にはカツオの刺し身の消費が伸びる。行きつけの魚屋さんもお盆休みを返上してこたえる。代わりに、お盆のあとの日曜日を休む。

毎年のことで、「来週(8月18日)は、カツオはありません」。8月11日の日曜日にいわれた。

「カツ刺しのない日曜日」である。「代わりに何が食べたい?」とカミサンがいうので、「トンカツ」と答える。

生協から取り寄せた「半商品」がある。揚げるだけでいいので、そう大きな負担にはならないだろう。カツ刺しならぬ「トンカツの日曜日」だ。

日曜日の夜はカツ刺し――そう決めているのは、もちろんカツ刺しが新鮮でおいしいからだ。

カミサンもそれで、何をつくるか悩まなくてすむ。日曜日だから「家事解放」の意味もある。

ところが不思議なことに、夕方、いつもの魚屋さんへ行く予定がなくなると、気持ちが糸の切れた凧(たこ)のようになった。

朝のうちはいつものように、夏井川渓谷の隠居へ出かけて少し土いじりをした。昼前には街へ下りて、いわき駅前のラトブに入った。

4階の図書館で本を返し、1階のスーパーでカミサンのあとにつきながら、昼食のサンドイッチなどを買って帰宅した。

昼食のあとは昼寝が待っている。「年寄り半日仕事」で、昼寝で土いじりとドライブの疲れをとると、また元気が戻ってきた。

午後3時にはカミサンのアッシー君をする。朝のうちに了解したが、いったん帰宅して昼寝をすると、「や~めた」といいかねない。そうならないよう、カミサンに念を押されていたので、こちらから出発を告げた。

行き先は鹿島街道のギャラリー創芸工房。「沢宏一透明水彩画展」が開かれている。たまたまカミサンの同級生が見に来ていた。

それからがなんとも中途半端な時間になった。いつもなら午後5時前後になると、魚屋さんへ「マイ皿」を持って出かける。そのルーチンが今回はない。

「海へ行こう」という声に従って、薄磯海水浴場へ向かう。台風7号がはるか沖合へ去り、太陽の光が戻ったこともあって、白波がまぶしく感じられた=写真。

そのうち、どちらからいうともなく、ソフトクリームが食べたくなった。「道の駅まで行くか」

ひたすら海岸道路を北上する。前日も海岸寄りの集落に住む後輩を訪ねた帰り、海岸道路を利用した。夏井川河口の先の海に虹がかかっていた。日曜日は晴れて、水平線がくっきりと見えた。

道の駅は相変わらずにぎわっていた。車を止めると、偶然、ソフトクリームをかかえた子供が目の前を横切って行った。

店内に、ソフトクリームは外で売っているという張り紙があった。それに従ってソフトクリームを手にし、脇のベンチでペロペロやった。

いつもはカツ刺しを買いに行く時間だ。それがなくなって、予定もしていなかったソフトクリームと道の駅までのドライブに変わった。

ドライブをしているときだけはエアコンが効いて涼しい。ソフトクリームもいっとき、のどをやさしく冷やしてくれた。

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