2024年10月15日火曜日

ハクチョウが飛来

               
 夏井川渓谷の隠居へ行く途中、平地の小川町・三島で、500メートルほど国道399号と同川が接する。

 三島はハクチョウの越冬地でもある。県紙によると10月12日、猪苗代湖にハクチョウ49羽が今季初めて飛来した。

過去の例だと、浜通り南部のいわき市へやって来るのは、猪苗代湖で初飛来が確認されてから1週間~10日後だ。

すると、今年(2024年)は10月19~22日あたりに、三島か平窪、ないし下流の塩(新川合流部)にハクチョウが姿を見せる。

 13日の日曜日朝、渓谷へ行くのにいつもの国道399号を利用した。三島の直前でカミサンにハクチョウ飛来が近いことを説明する。

「今朝の新聞に、ハクチョウが猪苗代湖に飛来したって記事が載ってた。今度の日曜日(10月20日)には三島にいるかも」

 その数秒後、三島橋の上流右岸にハクチョウが8羽、羽を休めているのが目に入った=写真。

猪苗代湖にやって来たばかりでもう三島とは! これまでの時間差を覆す早い飛来に驚いた。

 今年は夏が長かった。こう暑くてはハクチョウも南下する気にはならないだろう。そう思っていたが、繁殖地のロシアからはいつものように旅立ったらしい。

樋口広芳『鳥たちの旅――渡り鳥の衛星追跡』(NHKブックス、2005年)や、長谷川博『白鳥の旅――シベリアから日本へ』(東京新聞出版局、1988年)、さらにはネットにアップされた専門家の論考によると、長い旅のルートは次のようだ

 まずは春の北帰行。1990年4月10日、北海道のクッチャロ湖で送信機を付けられたコハクチョウはサハリンへ渡り、ロシアの北極海に注ぐ巨大河川「コリマ川」を北上して河口に到達した。やや北東部に移ったところで通信が途絶えた。

そこは「大小何千もの湖沼からなるツンドラ地帯の一大湿地」、つまりコハクチョウの繁殖地だ。クッチャロ湖から繁殖地までの距離は3083キロ、3週間あまりの旅だった。

このコハクチョウは1986年から毎年、長野県の諏訪湖に飛来し、送信機を付けられた1990年秋には幼鳥1羽を連れて現れた。色足環で確認された。

コハクチョウは北極海沿岸から北緯60度の間のツンドラ地帯で営巣・育雛する。オオハクチョウはそれより南の森林ツンドラからタイガ(針葉樹林)帯が繁殖地だという。繁殖地と越冬地との距離の長短には体の大きさ(重さ)が関係しているらしい。

 南下には北帰行と逆のルートをたどる。その年に生まれたばかりの幼鳥を伴い、9月に旅立った家族は、ツンドラ~サハリン~北海道~本州へと渡って来る。

翼を傷めて三島に残留したコハクチョウの「エレン」はやがて傷が癒え、去年、仲間と一緒に北へ帰り、秋に再び三島の夏井川へ戻って来た。

コハクチョウのくちばしは根元が一部黄色くて、あとは黒い。エレンは黒いくちばしの付け根に黄色い紋様がある。それで識別できる。この秋もエレンに会えるといのだが……。

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