日曜日(10月20日)は晴れて冷たい北風が吹き荒れた。小名浜の最高気温はなんと、日付が替わった1時の18.8度だった。前日の夏のほてりが夜更けまで残っていたのだろう。
わが行政区ではこの日朝6時半から1時間ほど、家の周りをきれいにする総ぐるみ運動を実施した。日中の最低気温はちょうどその時間帯の13度台だった。
冬型の気圧配置になったこの日、清掃を終えて夏井川渓谷の隠居へ向かうまでにいろんな動物と出合った。
まずは平・神谷~平窪の田んぼ道を通る。そのあとは国道399号~県道小野四倉線を利用する。
上神谷・鎌田から大室へと折れてすぐ、雄のキジが道端に現れ、車の直前を横切るようにして反対側へ飛び立った。
通り過ぎたばかりのT字路では住民が出て側溝の泥上げをしていた。ふだんとは異なる「ざわつき」を感じて不安になったのだろうか。家が点在するその集落でキジの姿を見るのは初めてだった。
大室から中塩に入り、平窪を抜けて国道399号に出ると、タヌキの死骸が路上に横たわっていた。
それを避けて進む。と、今度はカラスが何羽も路上に集まっていた。車がギリギリまで接近したところでパッと散る。路上には小さな生き物の死骸。たぶんイタチだろう。
小川・三島の夏井川で今季初めて、8羽のハクチョウを見たのは10月13日の日曜日だった。
飛来したばかりのハクチョウは落ち着かない。すぐどこかへ飛び立ち、また舞い戻る。これを繰り返しながら、徐々に定着する。それから1週間後の日曜日、朝9時時点で三島には3羽が羽を休めていた。
動物も(植物も)人間と同じ自然環境の中で生きている。たまたま事故で姿をさらし、寒波と共に飛来したので、人間だけではない命の営みを知ることになった。
隠居ではいつものように土いじりをして、庭を一巡した。キノコの生(な)る木を見ると、1週間前にはなかったキノコが傘を広げていた。長いはさみで柄ごと切り落とすと、不食のアミヒラタケだった=写真。
それから間もなく、庭で剪定作業をしていたカミサンに道路から声がかかった。見知らぬ年配のおじさんだった。
カミサンがすぐ私を呼ぶ。柵をはさんで立ち話をする。マツタケハンターらしいことがわかった。
マツタケをカネに換えようとは思わない。昔から人にあげるために採ってきた、という。バッグに入っているマツタケをのぞくと、強烈な香りが鼻を突いた。
マツタケハンターは、普通は自分のシロを明かさない。おじさんは違っていた。しかも山に入ったのは朝8時ごろだという。
野生キノコの摂取と出荷は、いわきでも制限されている。おじさんもそのことは先刻承知だろう。
立ち話から3日たった今は、あのおじさんはなぜ私たちにシロの話をしたのか、あれはキツネかなにかが演じた一瞬の白昼夢ではなかったのか――そんな気がしてならない。
ただし、キツネに化かされたとしても、マツタケの「世界」と「今」を知るいい機会にはなった。
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