2024年10月31日木曜日

辛み大根の葉と人間の歯

                      
   夏井川渓谷の隠居の庭で三春ネギと辛み大根を栽培している。といっても、辛み大根は自生に近い。不耕起のうえに、ほとんど手をかけない。

 春に花が咲いて結実する。葉が枯れたところで種の眠るさやができる。それを茎ごと切り取り、束ねて物置につるしておく。

 前は月遅れ盆が近づくと、発泡スチロールのようなさやを割って種を取り出し、それをまいて発芽させた。

 ところが、そんなことをしなくても辛み大根は自然に発芽する。地面にこぼれ落ちたさやが、ときがくると消え、月遅れ盆が終わるころにはちゃんと芽を出している。

いわきの方言で「自然に生まれる」ことを「ふっつぇ」という。ふっつぇの辛み大根が年々増えているようなのだ。

今年(2024年)も「ふっつぇ」を期待して、何株かそのままにしておいた。すると、8月の終わりごろから発芽し、若葉を開き始めた=写真。

3畳間くらいのスペースに密生し、さらには周辺でも芽が出たので、先日、間引きをした。

これをおひたしにして食べたら、針のように細い葉柄が歯の間にはさまり、なかなか取れない。葉柄を楊枝でつついているうちに、左上の臼歯が欠けていることに気づいた。痛みはない。

食べ物は無駄にしない。それはいいのだが、小さいわりには硬い。歯がもろくなった人間にはよくないか、と思っているところへ友人がやって来た。

雑談するなかで鼻や歯の話になった。後期高齢者である。体のあちこちに不具合が起きてもおかしくない。

私は慢性の不整脈で薬を飲んでいる。血栓による脳梗塞と抗凝固薬の服用による出血のリスクを抑えるため、入院して予防的な手術を受けた。

友人も入院を経験したという。「なんか変な匂いがする、と思って診てもらったら、副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症だった」

私は手術のあと、歯科医院に通い出した。右上の犬歯と右下の親知らずに穴があいていた。

福島県後期高齢者医療広域連合から、75歳と80歳を対象にした歯科口腔健診(無料)の案内も届いた。

犬歯は穴に詰め物をして終わった。親知らずは歯茎から浮いているうえに、ボロボロになっている。先日、それを抜いた。

すると、今度は前述の左上の臼歯が欠けた。歯も一斉に弱ってきたらしい、次から次に不具合が起きる。治療しては別の歯が――を繰り返すのだろうか。

友人も歯と歯の間にすき間ができて、食べかすがはさまって困るという。いずれは総入れ歯か――。あらためて歯科口腔健診の案内チラシをながめながら思った。

 健診では、虫歯や歯周病の有無だけでなく、口腔の機能も含めたさまざまな検査を受ける。もう半分、検査が残っている。通院は第三の歯の治療で長引きそうだ。

辛み大根はまだ間引きしないといけない。葉のとげとげや筋っぽさを減らすには、いったん塩でもんで少し置いておくといい、とネットにあった。

歯は歯として、今度はそれを試してみようか。でも、硬くておろしにしかならない大根だからなあ……。

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