2024年10月19日土曜日

年に一度の記者会見

                      
   水曜日(10月16日)は、朝焼けがきれいだった=写真。雲も多かった。予報通り曇りの一日になった。

夕方は夕方で、燃えるような夕焼けになった。暗くなってから西空の金星と紫金山・アトラス彗星を探したが、雲にさえぎられて見えなかった。

この日、午前中は区内会の仕事をこなし、午後は市庁舎の記者クラブに出向いて吉野せい賞(いわき市の文学賞)の選考結果を発表した。

 記者会見は当初、前日15日の火曜日に行われる予定だった。ところが、急に衆議院が解散し、15日に総選挙が公示された。そのうえ、総理がいわき市で第一声を上げることになった

記者たちは公示初日の立候補届け出と総理の第一声取材に追われることから、15日は会見どころではなくなった。

会見を仕切る広報広聴課と会見を予定している文化交流課などが調整して、一日延期が決まった。

吉野せい(1899~1977年)は同市小名浜出身の作家だ。少女時代から文才を発揮したが、詩人の開拓農民・吉野義也(三野混沌)と結婚してからは、筆をおいて家業と育児に没頭した。

夫が亡くなったあと、70歳を過ぎて再び筆を執り、短編集『洟をたらした神』で田村俊子賞・大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

いわき市はせいの業績を記念して、新人の優れた文学作品を顕彰するため、昭和53(1978)年、吉野せい賞を創設した。表彰式は例年、せいの命日の11月4日前後に行われている。

せい賞関連の行事は、同賞運営委員会が主催する。それとは別に選考委員会があって、募集期間が終わった月遅れ盆以降、各選考委員が全作品に目を通して1次選考作品3編、青少年特別賞候補1編を選ぶ。

このあと9月下旬に選考委員5人が顔をそろえて議論し、各賞を決める。それを10月初旬の運営委員会に報告し、了承されて初めて正式に賞が確定する、という流れだ。

選考委員の一人なので、今年(2024年)も運営委員長らと会見に臨んだ。現役時代は取材する側だったが、今は年に一度だけ会見する側に回る。

 今年は正賞(せい賞)に沢葦樹さんの「カノープスを見ていた少年」、準賞に一橋清高さんの「災禍」が選ばれた。奨励賞は伊藤晴美さんの「空色チェリー」、松井高史さんの「巣立つ者らが見る夢は」の2篇だった。

 正賞は3年ぶり、正賞と準賞の同時選出も3年ぶりだった。応募総数は31篇と漸減傾向にあるが、作品としては読みごたえのあるものが多かった。量はともかく、質は高い――それが今年の印象だった。

 なかでも、正賞のタイトルにもなったカノープスは、いわきでは真冬、水平線のすぐ上に現れてすぐ沈む南の星だという。

 いわきがカノープスの見える北限とかで、天文学的現実にいわきと千葉の人間をからめた物語が高く評価された。

 紫金山・アトラス彗星だけではない。カノープスもまた観察してみたい星の一つに加わった。

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