いわきと郡山を結ぶ磐越東線の話である。列車に動物がはねられたといえば、思い浮かぶのはイノシシだ。
拙ブログでもイノシシの衝突事故を取り上げている。平成26(2014)年9月2日午後8時過ぎ、夏井―川前駅間の上り線(いわき行き)で普通列車がイノシシと衝突し、一時運転を見合わせた。8月20日の宵にも同じ事故が起きた。
イノシシは夜間(人がいなければ昼間から)、活発に動き回る。夏井川渓谷ではときどき、土手や空き地が激しくほじくり返される。
渓谷にある小集落の住民からはこの二十数年の間に、イノシシが列車にはねられたという話を何度か聞いた。10年前の事故も、渓谷と地続きの山野で動き回っている1頭だったのだろう。
3・11後は明らかに事故が多発している。原発事故の影響でイノシシ猟をする人が減り、山中をバッコするイノシシが増えた。
そんな感慨が脳内に刻み込まれているところへ、今度はカモシカがはねられたという。磐東線の動物事故に新たな大型動物が加わった。
10月4日の県紙に、列車の遅れを伝える小さな記事が載った。3日午後6時15分ごろ、磐東線の江田―川前駅間で下り普通列車がカモシカをはねた。それが遅れの原因だった。
ネットにアップされたテレビのニュースでは、列車は事故のあと、川前駅まで移動し、異常がないことを確認して運転を再開した。
江田―川前駅間といえば、わが隠居がある夏井川渓谷ではないか。渓谷ではこの何年かカモシカの目撃情報が絶えない。
私自身、令和2(2020)年3月20日に渓谷の県道でカモシカを目撃した=写真。そのときのブログを要約・再掲する。
――カモシカに遭遇した場所は夏井川第一発電所への進入道路がある上小川字竹ノ渡戸地内の県道。時間は午後4時前。
渓谷の隠居からの帰り、落石を防ぐロックシェッドを過ぎた先のカーブに、1頭がのっそりと立っていた。
それをブログに書くと、隠居の隣の集落に住む友人などから目撃情報が相次いだ。友人はその1年前の4月に平の職場へ通勤途中、ロックシェッドの手前でうろうろしているカモシカを目撃した。翌5月にも自宅の裏山で遭遇した。
カモシカは国の特別天然記念物。阿武隈高地では見かけなかったが、生息数が増えて低地にも出没するようになったと、ウイキペディアにある。友人は「県道にカモシカ注意」の看板を立てた方がいい、という――。
ほかにも、平成23(2011)年秋あたりから目撃談が耳に入るようになった。渓谷を底に、周辺の山ではもうカモシカが定着・繁殖していると見た方がいいのではないか。そう考えていたところへ列車との衝突事故が起きた。
イノシシは今も渓谷をはいかいしている。土手などが掘り起こされているのでわかる。
そして、今度の事故だ。カモシカも渓谷を普通にうろつき回る「前兆」のような気がしてならない。ツキノワグマも、とはならないだろうが……。
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