2024年10月29日火曜日

ネギが発芽

                             
 ネギには秋まきと春まきがある。夏井川渓谷にある小集落の「三春ネギ」は秋まき、いわきの平地の「いわき一本太ネギ」は春まきだ。

それぞれの栽培農家によれば、種まきの時期は10月10日(渓谷)、4月10日(平地)だという。

必ずその日でなければならないわけではなく、その日を目安にするということだろう。

渓谷の隠居の庭で三春ネギを栽培している。今年(2024年)は夏にネギ坊主から採取した種を冷蔵庫で保管し、10月第2日曜日の13日、畳半分くらいの苗床に種をまいた。

1週間後の20日には早くも土の表面を割って芽が出かかっていた。2週間後の27日には、髪の毛ほどの太さの芽ネギが列をなしていた。

丈は3~5センチ。先端に種の黒い殻を付けているものもある=写真。思った以上に発芽率はよさそうだ。

ネギの発芽はおもしろい。ネギ栽培をしていてなにが楽しいかというと、この発芽からピンと立つまでの一連の変化だ。前にブログで書いた文章を再掲する

――黒い殻を破った緑色の芽(根と茎の部分がある)はいったん上向きに伸び、やがて根の部分が屈曲して下へ、下へと向かっていく。

茎は屈曲した状態で上へ伸び、ヘアピン状のまま地上に現れる。それに似たかたちを探せば、電気抵抗の単位を表す「Ω」(オーム)、あるいは逆「U」の字だ。

 その次の段階になると、土のふとんをかぶっていた黒い種がまた、茎に引っ張られて地表に出てくる。

初期の芽ネギは頭に黒い殻をのせているために、数字の「7」か、記号の「?」のように見える。さらに次の段階に入ると、黒い殻は脱落し、茎も根も一直線になる――。

掲載の写真では、「7」の状態が終わりかけ、やがて黒い殻が脱落するだろうという状態の芽ネギが多い。

今年の種は例年より小さめのものが多かった。カラの種とごみを取り除くために、一度金網のボールに入れて「水選」をした。

底に沈んだ種だけを新聞紙に広げ、陰干しをして乾燥剤とともに小瓶に入れ、冷蔵保管をした。種が生きていることは確信していたが、やはり発芽するまでは心配だった。

苗床が狭いこともあって、種は半分近く余った。ネギの種は、2年は持つ。来年用に小瓶ごと、隠居の冷蔵庫にしまった。

あとは防寒と雑草対策だ。芽が伸びてきたら、もみ殻を苗床に敷く。越冬する芽ネギのふとんになる。よけいな草の発芽も抑えられる。

ネギは「自産自消」が目標で、晩秋から師走にかけてはネギを収穫し、何本かは採種用に残しておく。

越冬したネギは春に薹(とう)立ちをする。やがて先端にネギ坊主ができる。それを摘んで種を採る。

今年のネギは育苗に失敗した。ちゃんとした苗が少なかったために、定植したのはわずかしかない。越冬させて種を採ることを考えれば、試食できるのは20本ほどか。

種採りは大事だが、食べることはそれ以上に大事だ、とわかってはいても、寒さに負けて追肥を怠った。この冬は寒くても手を抜けない。

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