2008年3月26日水曜日

ぺんぺん草がアートに!?


付き合いが三十数年になる還暦間際のM子(カミサンとは幼なじみ)がやって来た。フラワーアレンジメントの講習を受ける娘に付き添って東京へ行ってきたという。

娘を除くと受講生は全員、都内の人間。先生は男性(栃木県出身)で、業界では知られた存在らしい。緑(葉物)だけのアレンジメントを、先生が披露した。「丈の高い緑と低い緑を組み合わせるのがコツ」。ポイントを教えると、あとはそれぞれの感性で、自由に――が先生の流儀らしい。ちなみにM子は絵かきだ。夫婦で自宅を訪ねたときに感じたのだが、部屋の飾りつけはなかなかのものだ。それをなんというのだろう。インテリア? フラワーならぬルームアレンジメント?

あとで花材の話になったそうだ。エコな流れはフラワーアレンジメントの世界にも及んでいるのか、身近な暮らしの場に生える野草も立派な花材として扱われるようになった。

花材にナズナがあった。「田舎(いわき)では『ぺんぺん草』って言うの。そこらへんにいっぱい生えているよ」。先生は当然、「ぺんぺん草」がナズナの異称であることを知っている。M子の説明に苦笑しながらうなずいた。

ただし、野にあるナズナは虫にくわれて花材には向かない。フラワーアレンジメントにはハウスで栽培したナズナを使っているのだという。春の七草をハウスで栽培しているのだから、別に不思議ではない。

何年か前、ネコジャラシ(エノコログサ)が花材に使われているのを見て驚いたことがある。それからだいぶたつ。派手な色物だけでなく、素朴で質素な野の緑も――という気分がさらに広がってきたのだろうか。

なんだかナズナが照れたり、戸惑ったりしているような気がしてならない。で、こちらは花材ではなく、カンゾウの若芽とセリ、ヨモギ、クレソン=写真=を摘んで食材(てんぷら)にした。わが家の「味の春一番」である。

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