2018年3月9日金曜日

ヤンセン展を見にアクアマリンへ

「3・11」は、私のなかではいろんなビフォー・アフターの“計り”になっている。人生の画期のひとつであることはまちがいない。あのとき、孫は3歳と1歳だった(今は小4と小2)。野生キノコは以来、「採る」から「撮る」に変わった。
 日曜日(3月4日)に小名浜のアクアマリンふくしまへ行って来た。「震災後は初めてだね」。カミサンのことばにうなずく。あとで、2013年10月、中学校の同級会がハワイアンズで開かれ、翌日、アクアマリンを訪れたことを思い出す。私は二度目だった。(ビフォー・アフターの計りは、二日酔いなどでときどき狂う)

 テオ・ヤンセン展が土曜日3日、アクアマリンで始まった。プラスチックの円管でできた恐竜化石のようなオブジェが風を受けて砂浜を動くテレビコマーシャルを見て、深く胸に刻まれた。それが、やって来る。実物をこの目で見たい――というわけで出かけたのだった。

 入り口が前と違って駐車場の近くになっていた。入館して昔の入り口に近づくと、人ごみの中に見た顔があった。息子一家だった。予感はしていた。

私は、展覧会にはよく行く方だと思う。そんな親に連れ回された息子にも「子どもに見せたい」思いが伝播したのだろう。初日でなければ2日目の日曜日、家族で来ているはず――そのとおりだった。

 上の孫がカメラを首から提げていた。ジイ・バアを撮ってくれた。私もお礼にみんなの写真を撮る。出る・入るだったので、ちょっと話して別れた。

 エントランスホールにヤンセンの作品が展示されていた=写真。屋外の蛇の目ビーチにでも展示して、小名浜の潮風に当たって動いているのだとばかり思っていたが、“静態展示”だった(けさの福島民報で知ったが、エアコンプレッサーで作品を動かす時間もあるらしい)。では、魚を見て帰るか。カミサンはクリオネに、私はチンアナゴに引かれた。チンアナゴは鉛筆のように細くて小さかった。

 周りには幼児から小学生までの子を連れた若い親が多かった。子どもの反応が面白い。本館を出て駐車場へ向かう途中に築山がある。夏にはクズが繁茂するのか、「クズ」の表示があった。それを見た小学生の女の子が父親に言う。「人に言ってはダメなことばが書いてあるよ」

 父親は歩きながら娘に説明したにちがいない。「くずはくずでも植物のクズのことだよ。夏にはこの山がクズの葉で覆われる。それをまた見に来ようか」。女の子はこの日、「くず(屑)」と「クズ(葛)」の違いを胸に刻んだことだろう。

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