借りる人がいないので図書館所蔵の全集を廃棄したのかと思ったが、そうではなかった。市民から寄贈されたが、すでに図書館には同じ全集がある。で、興味のある方はどうぞ、ということのようだった。
同全集は99巻、別巻1冊を加えて100冊セットだ。全部そろえると75万円余になる。古書市場でも80万円台~60万円台のようだ。一般向けではない。仕事や趣味の延長でちょっと深く知りたい、という人なら手元におきたい本だが、図書館にある。必要なときに借りて読めばいい。なにしろ1冊3800円と高いのだから。
1回に2冊=写真、あるいは3冊と持ち帰った。布バッグにはそれくらいしか入らない。箱入りの“重厚長大”本だから、欲張るわけにはいかない。飛びとびに日をおいて出かけた4回目、きれいになくなっていた。
引き取った本は、数えたら8冊あった。置く場所に困って床の間に仮置きした。すると、すぐカミサンにしかられた。「床の間に置かないで! 2階に片づけるから!」
72巻「水野葉舟・中村星湖・三島霜川・上司剣集」は、三島霜川(1876~1934年)が目当てだ。霜川は富山で生まれ、14、5歳のころ、父、妹と3人で四倉に住んだ。明治後半から昭和初期に活躍した作家で、大正以後は演劇評論(歌舞伎)で鳴らした。「演藝画報」の常連寄稿家だった。総合図書館に「演藝画報」の復刻版がある。
57巻「明治俳人集」には大須賀乙字(1881~1920年)が載る。いわき出身の漢詩人大須賀イン=竹かんむりに均=軒(1841~1912年)の次男だ。俳名・乙字(おつじ)。明治・大正期の俳論家として名を残した。「季語」は、乙字が初めて使った、つまり彼の造語、とされる。
60巻「明治詩人集(一)」・61巻「同(二)」のうち、61巻には山村暮鳥(1884~1924年)と、仲間の人見東明(1883~1974年)、加藤介春(1885~1946年)、三富朽葉(1889~1917年)が載る。明治42(1905)年、早稲田・英文科の人見・加藤・三富らが口語自由詩の結社「自由詩社」を興し、同43年1月、暮鳥も同人となった。
図書館の本と違って、自分の所有となった本には遠慮なく書き込みができる。自由に書き込みのできる本があるだけで少しやる気が増す。
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