今年(2018年)は、いわきでも3月のうちにソメイヨシノが咲き出した。もう満開だ。わが家の庭では――。頭上にプラムの花、足元にスミレ、スイセン、クリスマスローズの花。これらの花はしかし、いつもの年よりぐんと早いというわけではない。
日曜日(4月1日)に夏井川渓谷の隠居で過ごした。対岸のアカヤシオは、平地のソメイヨシノと同様、満開に近かった。隠居の庭で土いじりをする合間に、気分転換を兼ねて周囲をブラブラした。岸辺の空き地に小流れがある。スプリング・エフェメラル(春の妖精)のひとつ、キクザキイチゲが咲いていた=写真。
森のなかでは――。同じ渓谷の別の場所だが、イワウチワが開花したという。隠居の対岸の急斜面でもイワウチワが群れ咲いていることだろう。斜面の上り下りはもう15年以上やっていない。脳内に昔見て感動した光景が映し出される。
季節を感じる“センサー”が鈍くなっている。加齢による衰えもあるのだろう。キクザキイチゲの開花が早いのか遅いのか、わからなくなっていた。自分のブログを見て、そんなに早いわけでもないことを知る。アセビはむしろ遅いくらい。が、アブラチャン、キブシ、ヤシャブシはどうか。気づきが遅くなっているから、比較検討もできない。
それよりなにより、小流れからクレソンが消えた。前は小流れに光がさすよう、ときどきドクダミとスギナを除去していた。震災後、それをやめたら、隣接するヨシ原からヨシが侵入してきた。昨秋、小流れを覆っていた枯れヨシを除去したが、また新芽が出てくる時期になった。
自然の恵みを利用する渓谷の暮らしは、その恵みが最大になるよう、自然に手を入れる。クレソンを繁茂させるためには、小流れにいつも光がさすようにしないといけない。観光客は「あら、クレソンがあった」だが、住民・半住民は手を入れて繁茂する状況をつくったから、「ようやくクレソンが増えた」になる。ヨシを根から取り払い、自然にはたらきかけて、季節に対する感覚を取り戻さないと。
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