記憶を頼りにネットで検索したら、53年前に発行された『現代フランス文学13人集』(新潮社、全4冊)のなかにあった。アンチ・ロマンの旗手の一人、ミシェル・ビュトール(1926~2016年)の「エジプト―土地の精霊―」だった。
ラマダン月(断食月)にも触れていたかもしれない。が、イスラム世界の知識ゼロの17歳にとって、エジプトはただただ乾いて暑い国、人々は、日中は横になってやりすごし、夜になって動き出す――そんな読後感が刻まれて今に残る。
日本の夏は、東京もフィリピンのマニラ並みの高温になる、という点では、東南アジアの国々とそう変わらない。しかし、今年(2018年)の暑さはそれを超える。ビュトールの「エジプト」が記憶の底から浮上してきたのもそのためだ。実際、夏のカイロの気温は東京を上回る。ただし、向こうは砂漠が広がる乾燥地帯、こちらは台風が襲来する湿潤の国。うっとうしさが違う。
さてさて、日中はじっとしているかわり、早朝に用をすませよう、というわけで、きのう(7月19日)は、夏井川渓谷の隠居でキュウリを摘むために、5時半に家を出た。と、道路にも田んぼにも霧がかかっていた=写真。見通しがきかない。ライトをつけて進むと、市街の平・平窪から小川に入るあたりで霧が晴れた。渓谷に霧はなかった。海霧が内陸部まで流れて来ていたのだろう。
隠居の庭でキュウリを摘み、キュウリ苗の根元にホースを置いて水をやりながら、草引きをすること30分。6時半には作業をやめて帰路に就く。平地に下り、平・神谷地区に入ると、丘陵にはまだ霧がかかっていた。
あとで福島地方気象台のホームページに当たると、「浜通りでは19日夕方まで濃霧による交通障害に注意してください」(午前10時38分発表)とあった。山の手の飯舘・葛尾・川内3村をのぞいて、浜通りの自治体には濃霧注意報が発令された。内陸まで霧が流れて来たせいか、日中の室温は31度をちょっと超える程度だった。おとといまでの暑さよりは多少しのぎやすかった。
いわきでもおとといの日中、土いじりをしていて熱中症で亡くなったお年寄りがいる。「天日燦(さん)として焼くが如(ごと)し いでて」、土いじりをしてはいけない、とあらためて肝に銘じる。
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