うな重ではなく梅干しなのは、半分は負け惜しみ、半分はコピーライター平賀源内(1728~79年)に対する尊敬と反発から。
八巻俊雄著『広告』(法政大出版局、2006年)によれば、平賀源内は日本最初のコピーライターだ。最初は「えびす屋兵助の漱石香(歯磨き粉)」を扱い、安永4(1775)年には「音羽屋多吉の清水餅」の広告コピーを書いた。うなぎ屋の広告も(通説だが)、人の心を動かし、今も人の心を支配している。
明和6(1769)年、源内は売れないうなぎ屋の相談を受け、「丑(うし)の日には『う』の字のつくものを食べると夏やせしない」という民間伝承にヒントを得て、「本日丑の日」の紙を店頭に張り出すことをアドバイスした。それが受けてうなぎ屋は大繁盛し、やがて土用うしの日にうなぎを食べる習慣が定着した。
その結果、うなぎが激減した。2014年には国際自然保護連合のレッドリスト最新版に「絶滅危惧種」として掲載された。
きのう、カミサンが聞いた、ある若い人の話だ。うなぎは高いから、代わりに新鮮ないわしを買ってきて開いて焼き、同じく市販されているうなぎのかば焼き用のタレをかけて食べるのだとか。
いわきの浜の料理に「うきき(まんぼうの腸)のかす漬け」がある。「うにの炊き込みごはん」もある。これもうなぎの代用になるのではないか。珍味、高級食かもしれないが。頭以外に「う」の字のつくものでもいいのなら、きゅうり、豆腐、そうめん、ごぼうなどが思い浮かぶ。
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