2019年7月7日日曜日

「生まれたての朝」

 鉛色の雲が空を覆う。時折、しとしと雨が降る。風とともに雨が強まることもある。なんとなくうっとうしい。やっぱり梅雨だ。
実の生(な)りはじめたキュウリが気にかかる。定植して2カ月ちょっとたつ三春ネギも、雨・風の影響を受けていないか――。雲の切れ間が明るくなった金曜日(7月5日)、明け方、夏井川渓谷の隠居へ車を走らせた。

5時すぎ。いつもの田んぼ道を行く。平窪から小川へ入るところで、水石山があらわれる=写真上1。ふもとから天空へと霧がわいて雲になる。雨上がりだから見られる現象だろう。「生まれたての朝」。現役であれば新聞の絵解きの見出しに使いたくなるようなことばが脳裏に浮かぶ。

渓谷でも尾根と尾根の間から、湯気のように霧がわいていた。隠居の庭の草は濡れている。長靴にはき替えてキュウリをチェックする。万年筆くらいの実が4本生っていた。三春ネギは? かなり倒れている。ちょんぎられた葉もある。周りの土をかいてネキリムシを2匹、ブチッとやる。

三春ネギは昔野菜(在来作物)だ。やわらかい。加熱すると甘くなる。香りもある。ところが、栽培するうえでは手がかかる。風で折れたり、倒れたりしやすい。長雨には特に弱い。ネギは砂漠がふるさとだから、土中に湿気がこもると根腐れをおこす。
この日はキュウリを収穫し、倒れたネギをざっと起こして、7時前に隠居を離れた。平地に戻ると、小学生が集団登校をしていた=写真上2。「生まれたての朝」だからこそ見られる光景だ。

さて、きょう(7月7日)は雨が降っていなければ、追肥と土寄せを兼ねてネギを立て直す。知り合いが、下の庭のヨシを刈ってくれる手はずになっている。しかし、一日「傘」のマークだ。午前5時現在、雨はやんでいる。頼むからずっと一服したままでいてくれよ――願いはむなしくはねかえされて、また降りだした。

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