第一報はネットで知った。その後は、テレビもつけて情報を集めた。京都のアニメーション制作会社のスタジオが放火され、“爆発火災”が起きた。激しく立ち昇る黒煙。死者は次第に数を増して33人に――。なんということをしてくれたんだ。
NHKの朝ドラ「なつぞら」は、アニメ制作現場でのやりとりが佳境を迎えつつある。京都の3階建てのビルの中でも、似たような作業が行われていたのだろう。命を絶たれた若い人たちの、それぞれの人生を思うと……言葉もない。怒りがこみあげる。
夕方、小名浜・冷泉寺住職酒主照之さんの通夜へ行った。放火の犠牲者にも、併せて胸中で合掌した。
高台にある寺は東日本大震災時、津波被災者の避難所になった。私ら夫婦が関係しているシャプラニール=市民による海外協力の会も、震災直後、いわきへ緊急支援に入り、その後5年間、交流スペース「ぶらっと」を開設・運営した。
この間、住職の娘で知人の“しんぼっち”(副住職)とカミサンが連絡を取り合い、シャプラのネットワークと真言宗の寺のネットワークを生かして、みなし仮設のアパートや戸建て住宅で孤立している津波被災者や原発避難者に生活用品の提供などを行った。それで、住職夫妻とも顔を合わせるようになった。
支援活動が一段落したあとも、住職夫妻が本や食器などを持って来た。カミサンがそれを必要とする人に提供し、あるいは換金してシャプラの活動資金に充てた。
その後、住職が体調を崩し、奥さんがひとり、車でやって来るようになった。最近では1カ月前、住職が読んだだろう本を持ってきた。中から4冊ほどを選んで手元においた=写真。支援うんぬんの前に、年金生活者としてはリデュース・リサイクル・リユースを実践するしかない。面白そうな本があれば手に取る。
そんな関係が8年も続いたからか、“しんぼっち”だけでなく、住職夫妻にも勝手に“同志”的意識を持つようになった。たぶん見ている震災の風景が同じだった。そんな思いにひたっているところへ、京都で突然、大惨事が起きた。理不尽な風が吹きやまない。
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