2019年7月5日金曜日

大久の新谷窯へ(上)

 新谷(にいたに)窯展が日曜日(7月7日)まで開かれている。今年(2019年)は平の街なかではなく、大久町の山里の自宅が会場だ。かやぶき屋根の古民家の庭、軒下、家の土間に作品が展示されている=写真下。
わが家からは山麓線(県道いわき浪江線)を利用して30分ほどだ。きのう(4日)午後、ドライブを兼ねて出かけた。

新谷辰夫・文代さん夫妻とは昭和50年代前半、平の草野美術ホールで最初の展覧会を開いたときに知り合った。呉須(ブルー)の馬上杯を買った。ぐい飲みを集めていたので、その延長で風変わりな酒器に手が出た。以来、ざっと40年のつきあいになる。

夫妻のつくる日用雑器が手になじむので、展覧会ではぐい飲みのほかに、ご飯茶わん・刺し身皿・糠漬けのキュウリやカブを入れる小鉢などを、一つか二つ買い求めてきた。カツオの刺し身用に、おろしにんにくと醤油をたらす赤絵の角皿を買ったこともある。

「こういうものがほしい」というと、応じてくれる。そのあたりがたぶん、ほかの人にとっても長いつきあいの理由になっているのではないか。

 梅雨まっただ中――。きのう、会場に着くと、うまい具合に雨がやんだ。文代さんが軒下で女性の客人たちと話していた。やがて女性たちが散らばる。と、文代さんがいう。「前に来たのはいつでしたかね」

こんなときの“目安”は、いつも2011年3月11日の東日本大震災だ。震災後は来ていない。そのときからさかのぼっても、ずいぶん前だ。たぶん30代後半、ないし40代前半。中をとって30年前ではなかったか。

初めて見る作品には、つい「どうやってつくったの」となる。指でへこませたような図案の大皿があった。指ではなく、ヘラでけずってへこみをつくった。指でへこませると、皿の裏側までへこんでしまうので――そんな話をしながらお茶を飲む。
囲炉裏では、二つ割りにされたクヌギの丸太がチロチロ燃えている=写真上。朝、火をつけて放っておくのだという。炭にしていい木は燃やしてもいいらしい。静かに部屋をいぶし、湿気をとる。そのチロチロ具合が、こちらの気持ちをほぐしてくれる。ということで、きょうはここまで。

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