2019年7月26日金曜日

「味噌かんぷら」を今年も

ジャガイモを「かんぷら」といった。「味噌かんぷら」はだから、ごくありふれた日本の家庭料理だと思っていた。が、主に福島県限定の郷土料理らしい。
 カミサンの知り合いが新ジャガを持って来た。中に味噌かんぷらにするとうまそうな小芋があった。カミサンが早速、味噌かんぷらにした=写真。

調理時間を短縮するため、小芋は皮のままレンジで2回「チン」した。あとはサラダ油でさっと小芋を炒(いた)め、味噌と砂糖、醤油を加えて味を調えるだけ。醤油の代わりにみりんを、というケースもある。ありあわせのものでいいのだ。

 去年(2018年)は、味噌かんぷら用にだけジャガイモを“栽培”した。おととし、知り合いからもらったまま、置き忘れていたジャガイモがあった。春先には芽が伸びていた。捨てるのはもったいない。夏井川渓谷の隠居の菜園に植えた。2カ月半がたって地上部の葉が枯れたので、小芋を掘り取り、味噌かんぷらにした。

今から二十数年前の平成7(1995)年3月、『いわき市伝統郷土食調査報告書』が刊行された。市観光物産課(当時)がいわき地域学會に調査・編集を委託した。写真付きのレシピ集だが、ページ下段に掲載されている「ひとくちメモ」がおもしろい。筆者は歴史や民俗に詳しかった故佐藤孝徳さん。伝統郷土食の調査委員長でもあった。さながら、「いわきの食の文化誌」を読んでいるような趣がある。

春の「葉玉葱(ねぎ)の油炒め」に合わせた「ひとくちメモ」では、野菜の油炒めを取り上げた。醤油ではなく、味噌で味付けするものが大部分として、「代表的なものに、ジャガイモの油炒めが一年中作られた」と記す。

 その作り方として、①小さなジャガイモを、皮をむかずによく水洗いする。大きなものは二つ割りにする②鍋に食用油を多めに入れ、ジャガイモをよく炒める③そこへ砂糖・味噌を入れ、多めに水を差してよく煮る④汁気がなくなるまで煮込む――。多少の違いはあるが、味噌かんぷらである。
 
味噌かんぷらは福島県民、特にシルバー世代にとっては忘れられない、子どものころのおやつだ。同時に、大人にとっては新ジャガとともに出てくる梅雨時の酒のつまみでもある。去年も、今年も酒のつまみを楽しんだ。

味噌かんぷらは、しかし、今も食べている家は限られるのではないか。昭和62(1987)年に刊行された農文協の『聞き書 福島の食事』には、味噌かんぷらは出てこない。「大豆の油味噌」止まりだ。当たり前すぎて取材からこぼれ落ちたか。あるいは、すでに食べられなくなっていたか。

味噌かんぷらというより、「味噌ジャガ」と言い換えた方が、若い世代には親しまれるかもしれない。味噌の風味に包まれたジャガイモの油炒めは、ほくほくしてうまい。

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