2020年6月13日土曜日

アーティチョークが届く

アーティチョークの苗をもらい、夏井川渓谷の隠居の菜園に植えたことがある。大きく育って、紫色のアザミのような花を咲かせた。つぼみができたら、それを採って食べようという魂胆だったが、タイミングがずれた。もっとも、こちらは食用ではなく観賞用のアーティチョークだったのかもしれない。
それから12年――。アーティチョークを食べるチャンスが突然めぐってきた。きのう(6月12日)午後、高専の後輩からアーティチョークのお福分けにあずかった=写真上1。食べたい、しかしどう調理するのか? 急いでネットで調べ、ゆでてから硬い皮をはがすことにした。

後輩にも調理法を教えてくれるように頼む。すぐ外国の動画が届いた。こちらは生のまま皮をむき、あとで食用部分を加熱するやり方だった。なるほど、どちらでもいいいのだ。

「とげには気をつけて」。つぼみの皮は、1枚1枚の先端が針のようにとがっている。不用意にさわると痛い。とげをはさみで切る。つぼみ全体の先端部分はまとめて包丁で切り落とす。とげがなくなったところで、大きな鍋に水を張り、アーティチョークを入るだけ入れて、40分ほど加熱する。金串で刺し通せるようになればOKだ。

 それからが大変だった。原形はソフトボール大だが、皮をむいていくと、どんどん小さくなる。どこまでむけばいいのだろう。タマネギと同じで、最後はなくなってしまう? 途中で心配になり、ネット情報を再確認する。画像と似たような大きさのところで皮をむくのをやめ、花になる部分をえぐったら、なんと直径5センチほどのおちょこの底くらいしか残らなかった。

 アーティチョークの食用部分は、この「花托」といわれるところらしい。コーヒーや紅茶でいえば、「受け皿」の真ん中部分。下処理に要した時間からすれば、見返りは圧倒的に少ない。たまたま5個をゆでたから、それなりの量を確保できたが、1個だけだとあまりにも貴重すぎる。
 花托を刻んでオリーブオイルをかけ、塩と酢(レモンがなかったのでその代用)を振って、晩酌のつまみにした=写真上2。イモに似た、くせのないホクホク感――。もともとは野生のアザミらしいが、品種改良が続けられてこの食感にたどりついた。いやあ、その執念には頭が下がる。

 そもそも12年前にアーティチョークを植えたのは、スペインに住む絵描きの阿部幸洋がいわき市で個展を開き、中にアーティチョークの作品があったからだ。阿部の知人が画廊に苗を持参した。めぐりめぐって私がそれを引き取った。“新野菜”としての幻影に惑わされたためだが、今回初めて調理し、食べて、阿部の住むトメジョーソの食文化の一端に触れることができた。

 そういえば、後輩も海外生活が長い。フェイスブックを介して送られてきたアーティチョークの動画が向こうのものだったのはそのため。今は実家へ“単身帰農”中だ。いろんなものを栽培している。前に落花生の「おおまさり」、ユズ、昔野菜の小豆「むすめきたか」をもらった。

アーティチョークにはしかし、最初びっくりして言葉もなかった。なんでもそうだが、単純な作業は一度やればコツがつかめる。まだ残っているので、今度はざっくりと下処理をして、食べるまでの時間を短縮してみよう。

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