2020年6月29日月曜日

朝の渓谷、昼の海岸、夕べの国道

平・薄磯海岸のカフェ「サーフィン」のママさんにあげるものがある。図書館にも本を返さなければ――というので、きのう(6月28日)の日曜日、夏井川渓谷の隠居へは早朝5時半に出かけた。行きに30分、帰りに30分、隠居に滞在30分。朝めし前の7時過ぎには家に戻った。
4時にはすでに小雨が降っていた。だんだん雨脚が強くなった。隠居の庭の菜園では、カミサンに傘をさしてもらい、キュウリのつるをテープの棚にしばり直し、生ごみを埋めた。それが終わると、玄関前の庭で、自分で傘を持ってマメダンゴ(ツチグリ幼菌)を探した。マメダンゴは今が旬。地面にてのひらを押しつけても反応がない。収穫はゼロだった。

帰路、平地で土砂降りになった。去年(2019年)秋の台風19号では、平窪地区を中心に甚大な被害が出た。下平窪二丁目の交差点は、一面が冠水していた。「平窪」という地名の由来をつい考えてしまう。おそらくその時間が雨のピークだったのではないか(けさ、平地区の気象データを確かめたら、1時間ごとの値が7時で36.5ミリだった。やはりそうだった)。

家で一休みしたあと、薄磯のサーフィンへ出かけた。雨は小やみになっていた。間もなく正午という時間。私はグリルサンド=写真上1=を、カミサンはスパゲティを頼んだ。

コロナ問題が起きると間もなく、ママさんは店を臨時休業にした。5月30日、店の近くに「いわき震災伝承みらい館」がオープンした。翌日曜日、見学に行くと、たまたまママさんが自分の店の前にいた。「6月2日に営業を再開する」という。で、きのう、朝は渓谷、とんぼ帰りで昼は薄磯へ出かけたのだった。

私たちも、基本的にはステイホーム(巣ごもり)を続けていたので、外食は4カ月ぶりだった。店内のテーブルの配置が少し違っていた。窓際にあるテーブルがひとつ減ったような感じだ。ソーシャルディスタンス(社会的距離)を考えてそうしたのだという。

図書館へは薄磯~豊間~鹿島街道の書店経由で行った。書店も、街道沿いのレストランも、駐車場は込んでいた。街道そのものも車列が続いている。緊急事態宣言が解除されてほぼ1か月半、日曜日には日曜日の光景が戻りつつあるのだろう。

夕方には青空が広がった。暑いくらいになった。いつもの魚屋さんへカツオの刺し身を買いに行く。目の前の国道6号もまた車の往来が激しくなっていた。若だんなと天気の話になる。「あしたからまた崩れるようですよ」。梅雨だから当然か。コロナだって必ず第二波がくる――と、これは国道の車の流れを見ての感想。
ところで、サーフィンは2階建てで、1階は駐車場(2台分)になっている。車をバックで入れると、車の屋根すれすれにツバメが飛んで行った。そのときは気にも留めなかったが、店を出て車に戻ると、奥の壁に巣があった=写真上2。子ツバメが黒い頭の先だけをのぞかせている。

9年前の3月11日、薄磯の集落を大津波が襲った。この集落で生まれ育ったツバメは、その直後、南から帰って来ても巣をかける家がなくて右往左往したことだろう。

その後、薄磯では区画整理が進み、高台に家が建つようになった。たまたま被害を免れた家も含めて、ツバメはどのくらい営巣しているのか。新しく建った家では、サーフィンの駐車場が初めて、しかも唯一、巣づくりに成功した、なんてことはあるまいが、よく帰って来てくれたものだ。ほんとうの復興とは人間だけではない、こうした生きものたちも含めてのことだと、あらためて思う。

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