2020年6月30日火曜日

孫たちの時代になった?

 わが家へよく来るカミサンの友達がいる。息子同士が小学校で一緒になり、仲良くなった。以来、母親同士も付き合いが途切れることなく続いている。その子の長女、つまり友達の孫が今年(2020年)春、大学を出て、福島県内のテレビ局(TUF)のアナウンサーになった。このごろは昼のローカルニュースを担当している。
 プロ野球が10日ほど前の6月19日、無観客試合で開幕した。友達の家の近くで育った子が今春、やはり大学を出て、千葉ロッテマリーンズに入団した。実力を評価され、早くも1軍入りを果たした。

日曜日(6月28日)の新聞には仰天した。「ロッテ7連勝/新人が決めた/打てる捕手 佐藤サヨナラ打」(朝日)。「佐藤(聖光学院出身)サヨナラ打/プロ初安打で大仕事/『数少ない打席頑張っていきたい』」(福島民報)。たまたま同じ日、海辺の喫茶店で読んだスポーツ新聞はもっと派手だった。「ロッテ止まらん7連勝/ドラ2代打で4番/佐藤プロ初Hがサヨナラ!!」(スポーツ報知)=写真。

若い知り合い(放送記者)がいることもあって、毎夕、TUFの「Nスタふくしま」を見ながら晩酌をする。6月22日に生中継が入った。いわき出身のこの新人アナが、プロ野球のルーキー(新人)の親が営んでいるいわきの焼き鳥屋(父親は昼間、ガソリンスタンドも経営)からリポートした。カウンターの奥には親……いや知った顔もいる。驚いた。入局3カ月目で生中継をまかされるとは!

このとき、ルーキーに出番はなかったが、アナウンサーは、プロ野球選手とは「おさななじみ」であることを明かしている。なるほどそうか、生中継の理由がこれだったか。カミサンがすぐ友達に電話をする。「ドキドキして見てた」といいながらも、うれしそうだった。

新しい週が始まったきのう(6月29日)は、ローカルテレビがこのルーキーの活躍を伝えていた。夕刊のいわき民報も母親の声を載せた。「Nスタふくしま」には、新人アナが登場して彼の活躍を伝えた(知り合いもスタジオからトリチウム水の行方について、記者解説をした)。

メーンキャスターがわざわざ「おさななじみなんですよね」と強調した。番記者ならぬ“番アナ”か。

が、おさななじみであることは、本人の努力とは関係がない。たまたま同じ地域で生まれ、育ち、知り合い、同じ小学校(平六小)と中学校(平二中)へ通ったにすぎない。それぞれがそれぞれの道で精進することで、「おさななじみ」であることが輝きを増すのだよ――と、これは一度も会ったことはないが、祖母や父親を通じて無縁でもないジイバアの声でもある。

「地域の子どもは地域で守り育てる」。青少年育成市民会議の目標の一つになぞらえていえば、新人アナもプロ野球のルーキーも、ほんのちょっと前まで「地域の子ども」だった。その「地域の子ども」が大人になって活躍するということは、次の「地域の子ども」たちにとっても、大人たちにとっても大きな励みになる。一方では、孫たちの時代になったのだ、という感慨もよぎるが……。

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