2020年3月29日日曜日

磯の味、土の味

 きょう(3月29日)は3月最後の日曜日。例年、行政区の総会を開く日なのだが、新型コロナウイルスの問題が起きたために、一堂に会するやり方は中止した。代わりに、4月1日付で総会資料を回覧し、電話で質疑を受けることにした。規約にはない緊急・例外的な措置だ。
 東京方面への移動だけでなく、地元いわきでも静かにしていた方がいい――。年寄りなので、「週末外出自粛」の呼びかけに応じて、きのうは家で本を読んで過ごした。

そんな日の夕暮れには、なにかうまいものを食べたくなる。といっても、「レストラングルメ」ではない。山菜・キノコの「サバイバルグルメ」。

 先日、カミサンが近所の故伯父の家の庭からフキノトウを摘んで、油で炒めて「ふき味噌」にした。「食べる」というよりは「なめる」に近い春の味だ。ご飯のおかずにも、晩酌のつまみにもなる。強い香りが鼻腔をくすぐり、ほろ苦さが舌を喜ばせる。これが、サバイバルグルメには「うまいもの」になる。

焼酎と「ふき味噌」をなめながら、3月に口にした「磯の味」と「土の味」に思いをめぐらせる。

 3月初旬、いつもの魚屋さんへ行くと、「茎ワカメの味噌漬け」=写真上1=があった。ワンパック200円。カツオの刺し身と一緒に買い求めた。「魚を買いに来る人から話を聞いて試作してみた」という。

 さっそく晩酌のつまみにする。湯がいてあるからやわらかい。キュウリみたいに中まで味噌の味が浸透しているわけではない。さっぱりした味がおもしろい。酒のさかなとしては珍味の部類に入るだろう。
 それからしばらくたって、夏井川渓谷の隠居の庭から辛み大根=写真上2=を引っこ抜いてきた。こぼれ種から芽生えた“ふっつえ大根”だが、根は鉛筆程度と未熟で細い。おろさずに刻んで食べたら、味も素っ気もなかった。これは失敗。おろし器で細胞を破壊するからこそ辛みが発揮される。それがない辛み大根はタダの草の根に近い。

 けさは起きると雨。このあと、夏井川渓谷の隠居へ出かけるが、南岸低気圧の影響で、9時からお昼にかけては雪の予報が出ている。いわきに多い春の雪だが、テレビの気象情報ではみぞれの可能性もある。アカヤシオの花の咲き具合を確かめたあと、傘をさして春の土の味を探す。

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