2020年3月18日水曜日

台風19号㊹道路に魚が

 きのう(3月17日)の続き――。夏井川渓谷の小集落で寄り合いが行われた。いつものことながら、マチの人間には想像を超える話が次々に出る。
大水は災厄だけでなく、ささやかな恵みをもたらすこともある。夏井川渓谷では籠場の滝のすぐ上で道路の路肩がえぐられた=写真。その道路で大水が引いたあと、魚がいっぱい捕れたという。魚にとってもそれだけの大水は“想定外”だったろう。そんなときには、食べて供養するのが土地の作法、というものだ。

12年前、同じ寄り合いで同じ話を聴いたことがある。「10年に一遍はこういうことが……」といっていた。去年(2019年)の10月、その通りになった。

 2007年秋――。籠場の滝の上、川の流れと高さがそう違わない県道小野四倉線の岸辺に、県が杉林を伐採してマイカー用の駐車場を設けた。籠マットで基礎を固め、その上に土を入れてのり面をつくり、路面がアスファルト舗装された。するとすぐ、9月5日に襲来した台風9号の大水で路肩がえぐられた。

2008年3月某日、小集落で年度末の寄り合いが開かれた。総会が終わり、懇親会に移ると、よもやま話が始まった。籠場の滝の上の駐車場が話題に上った。

「あの日(台風9号が来襲した日)の早朝、非常召集がかかって駐車場のそばを通ったら、川が増水して道にひたひたかかっていた」。そのあと、そこを通過した1人は「水が道路にあふれていて、怖かった」。どこまでが川で、どこからが道路か、わからなくなっていた。

2008年初秋――8月28~29日、上流の川前町に大雨が降った。岸辺は、籠マットが何段にも組み足されてがっちりと復旧したはずだったが……。籠マットの段数が一番少ない、下流側のはじっこがえぐられた

岸辺に巨岩が露出している。それが、増水すると「堰」になり、駐車場の側にも流れができて、籠マットの上部のアスファルトが水の圧力に抗しきれずに崩れたのだろう。道路も冠水した跡が見られた。

2019年秋――。10月12~13日の台風19号の大水で、またまた損壊した。やはり籠マット最下流部のアスファルトがえぐられ、土砂が流出した。

杉林が消えたあと、そこはポッカリと開けたビューポイント(視点場)になった。清流と巨岩にもすぐ触れられる。対岸のヤドリギをそこから見つけた。逆光の中で葉を落とした広葉樹の「光の枝」を撮影したのもそこだった。

それだけではない。駐車場が整備されたとき、道路と駐車場との境にヤマザクラの老木が残された。平地から駆け上がり、籠場の滝を過ぎると、突然、前方にこの木が現れる。幹に空洞ができているが、今も頑張って花をつける。「道路のヤマザクラ」は格好の被写体でもある。

渓流と道路の高さがそう変わらないのは、籠場の滝をつくっている岩塊が一帯で露出しているからだろう。寄り合いでは「籠場の滝が小さくなった」という話も出た。それについては、あした――。

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