夏井川渓谷の小集落で行われた寄り合いでのこと――。台風19号のときはどうだったか。総会後の懇親会で聞き役になった。小川・江田の母成(ぼなり)林道沿い、川前・下桶売の城木(じょうぎ)の森林伐採がやり玉に挙がった。
私自身は、台風19号が去って一日たった10月14日早朝、渓谷の隠居の様子が気になって出かけた。ところどころ山から土砂が流れ出して、渓谷の県道小野四倉線が茶色くなっていた。
渓谷の山中に居を構える友人夫妻は、13日、街の旧宅から帰るのに、途中で県道をUターンし、国道399号~母成林道を経由せざるを得なかった。一日たって、かろうじて車1台が通れるようになっていたのはラッキーだった。
フェイスブックにアップした友人のコメントによれば、母成林道はこんなあんばいだった。皆伐された山側から沢へとガンガン水が流れてくる。その水がアスファルトの路面から滝のように落ちる。アスファルトがどんどん沢に落ちていく――。2カ所で軽トラックがやっと通れるくらいだったという。ときどきマイカーで行き来していたので、軽トラがやっと、には驚いた。
2年前の寄り合いでも、やはり母成林道の伐採による「山抜け」(土砂崩れ)を心配する声が出ていた。そのときの拙ブログを要約して紹介する。
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3月11日、日曜日。朝、渓谷にある隠居へ向かうと、県道沿いに伐り出したばかりの杉の丸太があった。その一角で伐採が始まったらしい。「国有林で伐採が行われている。母成林道の奥に行ったら、ハゲ山だった。『山抜け』が心配だ」。寄り合いで話に出た場所は、県道沿いの現場とは別の、ひとつ隣の沢の奥だった。
用があったので、夕方、寄り合いを途中で抜けたあと、江田から横川へ母成林道を利用して帰った。話を聞いたからには見ておかないと――。峠付近の斜面がハゲ山になっていた=写真。
「あそこはマサ土だから」。マサ土は花崗岩が風化してできた砂のことで、もろくて崩れやすい。それで、地元の人間は「山抜け」、つまり土砂崩れを心配しているのだ。
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「川前の城木は、母成よりひどい。行って見てくるといい」とKさん。川前から川内村へと通じる県道上川内川前線は、鹿又川渓谷で通行止めになっている。集落を流れる中川沿いに川前・外門へ駆け上がり、高部へと向かう山道と、稜線を走る“スーパー林道”(広域基幹林道上高部線)は大丈夫、という。
県道沿いの小集落では土石流の警戒区域に指定されているところがある。わが隠居もその区域に入っている。土砂災害要注意地帯に住んでいる以上は、周囲の環境の変化に鈍感ではいられない。
この山間部から流出した土砂が本流の夏井川を通じて下流に運ばれる。下流にはそれであちこちに川中島ができる。大水が出れば水害の要因になる。川の上流と下流、つまり流域を生きた体として見ないと――。寄り合いであらためてそんなことを思った。
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