この冬は暖かかった。タイヤはノーマルのままだった。極寒期を過ぎ、春を迎えたと思ったら、今の時期に特有の、南岸低気圧による春の雪だ。しかし地温が高いから、雪でも道路には積もらないはず――そう考えて、早く出かけて早く戻ることにした。
渓谷に入ると、すれ違う車の屋根に雪が載っている。「いわき」ナンバーだから、渓谷沿いの川前(標高280メートルほど)ではなく、山地から下りて来た車だろう。桶売(同500メートルほど)や小白井(同650メートルほど)は銀世界に違いない。
渓谷の隠居までは雨、やがてみぞれに変わったが、周囲の山も家も道路も白くなることはなかった。
対岸のアカヤシオは思っていたとおり、満開だった=写真上1。その“奥山”は、稜線がおぼろに見えるだけ。縁側からアカヤシオの写真を撮ったあと、傘をさして、庭のシダレザクラの樹下に発生するアミガサタケを探した。半分立ち枯れた庭木の幹にはアラゲキクラゲが発生する。それもチェックしたが、どちらもまだだった。
近くの小流れにはコゴミ(クサソテツ)が出る。例年、4月下旬に摘む。いくらなんでも早すぎる。そこはノーチェック、となれば、あとはやることがない。カミサンがせっつくので、1時間もたたずに街へ戻った。図書館へ寄って本を借り、家に帰って一休みしているうちに雨(みぞれ)が上がった。
4時過ぎ、いつもの魚屋さんへ刺し身を買いに行く。「今年一番のカツオです」。うれしい気分で戻ると、西の山並みがうっすら白くなっている。ひとつ山寄りの道へ入って、神谷耕土から湯ノ岳を写真に収めた=写真上2。この雪も太陽が顔を出せばすぐ消える。
フェイスブックにアップされた写真を見ると、同じいわきの平地でも、高台、あるいは沿岸部では白くなったようだ。いわきでは、雪は非日常、格好の被写体になる。
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