東京方面への移動だけでなく、地元いわきでも静かにしていた方がいい――。年寄りなので、「週末外出自粛」の呼びかけに応じて、きのうは家で本を読んで過ごした。
そんな日の夕暮れには、なにかうまいものを食べたくなる。といっても、「レストラングルメ」ではない。山菜・キノコの「サバイバルグルメ」。
先日、カミサンが近所の故伯父の家の庭からフキノトウを摘んで、油で炒めて「ふき味噌」にした。「食べる」というよりは「なめる」に近い春の味だ。ご飯のおかずにも、晩酌のつまみにもなる。強い香りが鼻腔をくすぐり、ほろ苦さが舌を喜ばせる。これが、サバイバルグルメには「うまいもの」になる。
焼酎と「ふき味噌」をなめながら、3月に口にした「磯の味」と「土の味」に思いをめぐらせる。
3月初旬、いつもの魚屋さんへ行くと、「茎ワカメの味噌漬け」=写真上1=があった。ワンパック200円。カツオの刺し身と一緒に買い求めた。「魚を買いに来る人から話を聞いて試作してみた」という。
さっそく晩酌のつまみにする。湯がいてあるからやわらかい。キュウリみたいに中まで味噌の味が浸透しているわけではない。さっぱりした味がおもしろい。酒のさかなとしては珍味の部類に入るだろう。
それからしばらくたって、夏井川渓谷の隠居の庭から辛み大根=写真上2=を引っこ抜いてきた。こぼれ種から芽生えた“ふっつえ大根”だが、根は鉛筆程度と未熟で細い。おろさずに刻んで食べたら、味も素っ気もなかった。これは失敗。おろし器で細胞を破壊するからこそ辛みが発揮される。それがない辛み大根はタダの草の根に近い。
けさは起きると雨。このあと、夏井川渓谷の隠居へ出かけるが、南岸低気圧の影響で、9時からお昼にかけては雪の予報が出ている。いわきに多い春の雪だが、テレビの気象情報ではみぞれの可能性もある。アカヤシオの花の咲き具合を確かめたあと、傘をさして春の土の味を探す。
0 件のコメント:
コメントを投稿