両親は勤めている。ふだんは放課後の時間をみはからって、母親の両親が10キロ先から“学童保育”にやって来る。臨時休校なので朝から――というわけにはいかない。祖父母にも暮らしのルーチンがある。
子どもたちも同じだろう。新型コロナウイルスの感染を防ぐため、急に長い休みに入った。上の孫は小6で、23日には卒業式を控えている。式そのものは行われるが、簡素なものになる。気持ちに変化がないわけがない。
下の子を迎えに行ったとき、上の孫も含めて2人の表情を“観察”した。下の子に「ヒマか」と聞くと「ヒマ!」という。「サッカーとか英語(の塾)とかがあるときはいいけど、何もないときは……」。上の子もヒマを持て余しているようだ。それはそうだろう。
下の孫は帰宅後も遊び回っているので、宿題を始める時間が遅い。サッカーの練習へ出かけるのは午後4時半だが、いつも10分ほど遅れる。ところが、きのうはとっくに宿題をすませていた。すぐ着替えて出発した。「こんなにスムーズなのは初めてだな」というと、もう一人の祖父がニヤリとした。
しょっちゅう試合がある。遠征もする。「仙台の試合は中止になった。コロナの患者が出たから。あとは延期」。子どもの世界にも影響が広がっている。
車の中で、あれこれ聞く。昼は親が用意したものを食べているらしい。「宿題、どっさりあったろ」「でも、あとちょっとで終わる。一日に2時間、3時間くらいやってるから」。これには驚いた。ヒマだからこそ、そしてたぶん兄に影響されて、午前中は宿題に集中しているようだ。逆に、宿題を全部終えたらどうするんだろう。もっとヒマになるのではないか。
宿題のことを聞いたのは、知り合いの若い母親が、小1の長女がどっさり宿題を持ち帰ったのをみて、「ギャアアアアアアア―――」とFBで叫んでいたからだ。
おととい、その母親と、やはり臨時休校・休園に入った長女、幼稚園の長男がやって来た。長女は幼稚園のころからユニークな言葉で周りを楽しませている。母親のメモによると、5歳「大人になりたくない」、6歳「家を出て自由になりたい」、そして今は「学校をやめて旅人になる」。
学校に上がる前も、上がってからもそうだが、茶の間でパソコンをいじっていると、「タカじい」といいながら入って来る。「これ、なんですか」「ぬいぐるみ」(「なんですか」を使えるようになったんだ。小学校に上がるといやでも大人になるんだなぁ――)「いい?」「いいよ」。小さなレッサーパンダ風のぬいぐるみを持っていく。たしか入学式の直前、キノコが登場するいわむらかずお(1939年~)の『14ひきのあきまつり』を進呈した記憶がある。
今もデザイナー志望は変わっていないらしい。小学校に入る前に描いた絵と、去年(2019年)、茨城県天心記念五浦(いずら)美術館で開かれた画家入江明日香展のチラシをくりぬいてコラージュしたもの=写真=を、カミサンが進呈した。カミサンが古着をばらして取っておいた洋服の襟(えり)も何枚か持ち帰った。
子どもたちは子どもたちで、降ってわいたような休みにとまどっている。その年齢なりに複雑な思いを抱いている。小4、小1との対話からそんなことを感じた。
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