2019年2月27日水曜日

「いわきねぎ」を買う

いわき市平市街の里山、石森山にある市フラワーセンターで日曜日(2月24日)、「いわきいちご・いわきねぎフェスティバル2019」が開かれた。「ねぎショップ」では「いわきねぎ」だけでなく、郡山市の「阿久津曲がりねぎ」も展示・販売するというので、出かけた。
夏井川渓谷の隠居で「三春ねぎ」を栽培している。集落のおばさんから苗と種をもらい、2、3年失敗したあと、種を冷蔵庫で保存することを覚えてから、自家採種による栽培がうまくできるようになった。

阿久津曲がりねぎは阿武隈川東岸、郡山市西田町阿久津地区で栽培されている。同市に吸収合併される前は田村郡西田村の阿久津だった。三春町とは地続き、田村市常葉町で栽培されている三春ねぎも曲がりねぎとくれば、阿久津曲がりねぎと三春ねぎは同種、ないし親戚と、私はみている。品種としては「加賀群」だ。

いわきには「千住群」の昔野菜「いわき一本太ねぎ」がある。ブランド品のいわきねぎとどうちがうのか。フェスティバルでは勉強のために、両方のネギを買った=写真(右がいわきねぎ、左が阿久津曲がりねぎ)

三春ねぎは白根だけでなく、あおい葉も食べる。香りが高く、甘く、軟らかい。阿久津曲がりねぎも白根の先に少し残っている葉は、ぬめりがあってやわらかい。もう10年以上前、平のスーパー(本社・郡山市)で初めて阿久津曲がりねぎを買って食べた。以来、冬になると系列のスーパーをのぞく。

日常食としてはジャガイモとの味噌汁にする。阿久津曲がりねぎはお椀を口に持ってくると香りが立つ。軟らかい。甘みも三春ねぎより濃厚だ。ぬめり感もある。この甘みとぬめり感は、葉の内側にあるぬるぬる(多糖類)が加熱されて変化したものだろう。

いわきねぎも、同じように味噌汁にした。白根は加熱すると、もちろん甘くやわらかくなる。葉は、これは食べるには硬い。つまり、白根だけ食べるネギだ。さっぱりした味だが、三春ねぎを食べて育った人間にはいささか物足りない。

先日、いわき昔野菜保存会がいわき昔野菜フェスティバルを開いた際、いわき一本太ねぎを参加者にプレゼントした。これも味噌汁にして食べた。香り・やわらかさ・甘みがあった。

いわき一本太ねぎは、風が吹くと倒れやすく、病気に弱い。栽培にも手間がかかる。そこで品種改良が進み、栽培しやすいものが主流になった結果、市場から姿を消した。いわきねぎはそのあと、いわきのブランド野菜として登場した。あらためてそれぞれのネギの歴史を確認するフェスティバルになった。

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