2019年2月14日木曜日

「早春の山の乙女」

 月に1回、義弟を病院へ連れて行く。診察時間が決まっていて、朝8時半には家を出る。カミサンが弟に付き添う。戻って米屋の店番をしたあと、迎えに行く。
 いわき市平の中神谷から内郷の労災病院へ――。夏井川に架かる国道399号(この区間はもう「国道6号」ではない)の平大橋に差しかかるころ、西方の山並みに「乙女」が見える(何年か前、若い仲間に教えられて、なるほど人の姿をしている、と思った。午後は逆光でよく見えなくなる)。

湯ノ岳(594メートル)の東側斜面に杉林の黒いかたまりがある。周りを広葉樹が取り巻いている。その組み合わせが「横を向いて座っている乙女」に見えた。

 去年(2018年)の5月下旬、夏井川渓谷の隠居へ行く前に遠回りをして、平大橋から「乙女」の写真を撮った。「5月の乙女」といったら、カミサンがけげんな顔をした。その顛末を去年の5月23日付拙ブログに書いた。

 広葉樹が葉を落とした今、「乙女」はくっきりと斜面に浮き出ている。朝、平大橋に差しかかると同時に、思い立って助手席のカミサンに声をかける。「『乙女』の写真!」。あわててカミサンがカメラを構える。1コマだけ撮れた=写真。

 次の日は朝から雪になった。翌10日開催予定のいわきサンシャインマラソン大会が中止と決まった。おととし、去年と首都圏の知人2人に宿を提供した。その経験からいっても、選手・大会スタッフ・ボランティアなどにとっては、早い決断はよかったのではないか。午後、「雪の乙女』を撮りたくてラトブに行ったが、西方の山並みは雪雲で見えず、翌日午後に再び出かけたものの、今度は逆光で乙女の輪郭が消えていた。

 それはさておき、「5月の乙女」が「早春の山の乙女」になったと思ったら、18歳の水の乙女の衝撃的なニュースが飛び込んできた。白血病、練習すると肩で息をする……。もう6年前になるが、慢性の不整脈が進行して、2階に上がるだけで目が回り、息が切れたことがある。おととい、きのうと、それを思い出しながら、彼女の内面をあれこれ推し量って過ごした。

本人が(実際は周囲の人間と相談の上だろうが)、ツイッターで病名を公表した。そのこと自体に、病気に立ち向かっていく彼女の意志の強さを感じて、胸が熱くなった。これからは、本人と病気とドクターとの「三者会談」が続く。水泳で培った底力をなんとしても発揮してほしい。

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