夏井川渓谷の隠居の庭で三春ネギと辛み大根を栽培している。正確には、辛み大根は“自生”に近い。不耕起のうえに、ほとんど手をかけない。
今季は辛み大根の生育がびっくりするほどいい。1月に入って、三春ネギやフキノトウのほかに、辛み大根を1本収穫した=写真。これも立派に育った。
辛み大根のイメージは、ずんぐりむっくり、だ。根元がふくらんですぐしぼむ。ところが……、この冬の辛み大根は太くて長い。普通の大根のようなものが採れたときには、さすがに首をひねった。
そのときのブログの一部を再掲する。――あるとき、葉が大きく育った辛み大根を引っこ抜こうとしたら、頭が突き出ていて異様に太く、長い。脇にスコップを入れて土をほぐした。なんと普通の大根が出てきた。
大根の種をまいて育てたことはある。が、それは震災前だ。震災後は全面除染の対象になり、庭の表土を5センチほどはぎとり、新しい山砂を入れた。
そのあと、簡単に収穫できるものをと、カブ、ラディッシュを栽培したことはあるが、大根はない。なにがなんだかわからない――。
その後も、この大根ほどではないが、立派に肥大した辛み大根が採れた。冒頭で触れた1本もそうだ。
おろして晩酌のおかずにする。ずんぐりむっくりの大根は強烈に辛い。なのに、立派な大根は辛みに強弱がある。どちらかというと、辛みが弱い。もしかして、交雑した? そんな思いがふくらんだ。
大根はアブラナ科だ。アブラナ科の植物は交雑しやすい、とネットにあった。いつの間にか身近なアブラナ科のものと交配して、形質が変わってしまったか。
それが普通の大根との交配だったとしたら……。種もまかないのに長い大根が採れたり、今までになく立派な「ずんぐりむっくり」ができたりしたワケが納得できる。むろん、実際はどうなのか、素人にははわからない。
採種用に辛み大根を1~2本、採り残す。越冬した辛み大根は、春に花が咲き、実(さや)がなる。さやには種が眠っている。
さやを収穫・保存し、月遅れ盆が来たらさやを割って赤い種を取り出し、ていねいにも畝を耕して点まきにしたことがある。
たまたまさやが落下したのをそのままにしておいたら、月遅れ盆のあとにちゃんと双葉が現れた。
辛み大根には自分で再生する力がある。手抜きをしたために辛み大根の野性に気がついた。以来この6年、さやごと種を収穫したあとにこぼれ種で発芽した辛み大根だけを育てている。種はわりあい長寿だというから、さやのまま物置に保管している。
交配したとしたら、去年(2022年)の春ということか。初夏に種が形成され、秋に発芽したのが、冬になって肥大した。そういう流れになる。
ここは一度、古い種をまくとしようか。いや、交配種がこれからどう変わるのか、それも見たい――好奇心がからまって気持ちがゆらぐ。
0 件のコメント:
コメントを投稿