2023年1月8日日曜日

薄味の日々

                      
 梅干しが切れたので、道の駅よつくら港へ買いに行った。ここでは「川内村漬物研究会」のラベルが張られた梅干しや味噌漬けを売っている。

 年が明けてすぐ、近くのマルトへ買い物に行った。「初売り」ならぬ「初買い」だ。道の駅での買い物も今年(2023年)初めて、ということになる。

 道の駅は遠距離ドライバーや観光客の休憩場を兼ねるが、地元の人間には暮らしと結びついたスーパーやコンビニとなんら変わりがない。よりローカルな食品が並ぶ。それが目当てだ。

 私は川内村と隣接する阿武隈高地の山里で生まれ育った。梅干しも味噌漬け=写真=も、自分の味蕾に刷り込まれた味が基準になる。

 川内の梅干しは、鮮やかな赤紫色がポイントだ。塩と赤紫蘇だけで味が染み、色が付く。天然の赤い色が食欲を刺激する。

阿武隈の実家では、梅干しではなく梅漬けをつくった。青梅を使った「カリカリ漬け」だが、発色の鮮やかさは川内の梅干しと全く変わらない。

鮮やかな赤紫色を口にする。もちろん、酸っぱい。が、梅干しがあると、なんとなく安心する。しかし、隣家に住んで食事を共にする義弟には、味噌漬けも含めてあまり食べさせられない。

糖尿病になると、食事にいろいろ制限が付く。間食やアルコール、塩分を控える、といったことがその中に含まれる。それで、このごろは義弟の体に合わせて、食べ物が薄味になってきた。

その典型が味噌汁だろう。初めのうちは頭でわかっても、なかなか舌がなじめなかった。が、このごろはすっかり薄味に慣れてきた。「うまい」とはいえないが、「まずい」とも思わなくなった。

その延長かもしれない。冬になって、いつものように白菜を漬けた。私は、子どものころからの習慣で、醤油を注いだ小皿に七味を振って、それに白菜漬けをチョンとつけて食べる。

現役のころ、職場の食堂で仲間と一緒に昼食をとったとき、おかずの白菜漬けを醤油につけたら、1人がびっくりして声をあげた。「漬物なのに醤油につけるの?」

これには、こちらがびっくりした。阿武隈の山里では当たり前の食習慣だと思っていたが、いわきの平地では違っていた。

味噌汁が薄味になったのに合わせて、この冬は、食卓から七味を振った醤油の小皿も消えた。醤油の味も、七味の風味もない、ただの白菜漬けをそのままご飯に載せて食べる。まあ、それが本来の食べ方なのだろうが、これに慣れるにはもう少し時間がかかりそうだ。

ただ、こうした食事の減塩化はやがて周りにもプラスになるのではないか、そんな期待もある。

私自身、高血圧のうえに、血糖値もやや高めなので、義弟に合わせて食事療法をしているようなものだ。それが、やがてデータとして現れればいいのだが……。

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