2023年1月25日水曜日

犬と猫、そしてイワシ

                         
  日曜日にいつもの魚屋さんへ行くと、駐車場に軽トラが止まっていた。荷台に檻が二つ。中に犬が入っていた。1匹はセント・バーナードに似た大型犬だ。

 先客がいた。飼い主で、セント・バーナード似の犬は闘犬の土佐犬だという。カミサンは「セント・バーナードなんて言って」と笑ったが、土佐犬を見た瞬間の印象はまさにそうだった。

 あとで、ネットで検索した。それによると土佐犬は四国犬の一種で、近代になって闘犬用に獰猛(どうもう)な大型犬と交配・改良されてつくられた。

 その交配種はセント・バーナードのほかに、イングリッシュ・マスティフ、オールド・イングリッシュ・ブルドッグ、ブル・アンド・テリア、グレート・デーンなどだった。セント・バーナードに似ていると感じたのは、あながち間違いではない。

 闘犬の土佐犬を見た瞬間、きょうは犬と猫の日か――そう思った。もちろん、これは個人的な理由による。

 下の息子が飼っていた猫が死んだ。なんと25年も生きた。人間の年齢でいえば100歳を超えている。動物病院のホームページで確かめると、どうも116歳になっていたようだ。

 連絡がきたので、夏井川渓谷の隠居の庭に葬れば、と伝える。同じ日曜日、私ら夫婦より早く着いて、シダレザクラの樹下に穴を掘り終え、猫を埋葬するところだった。

 隠居の玄関からシダレザクラまではおよそ20メートルある。赤ちゃんを抱くように、包みにくるんだ猫を腕に抱いて、しばらく見ている。それから穴にそっと置く。声をかけるのがはばかられた。

 あとでいろいろ聞いた。わが家では、子どもが小さいころ、拾って来た猫を飼い続けた。震災当時は猫が3匹いた。「長男」の「チャー」の系統の雄猫だった。名前は「ユウジロウ」といった。

 「チャー」は、上の息子が東京で暮らしていたころ、ミャーミャー鳴いているのを拾い、わが家へ連れ帰った。「次男」は「レン」。平の里山に捨てられていた。「長女」の「サクラ」も同じで、「チャー」以外は避妊手術をした。

 震災と原発事故が起きたとき、孫たちを連れていわきを離れた。チャーとほかの2匹の猫は、えさと水を用意して家に残した。

チャーは震災直前、老衰のために後ろ足を引きずり、排便もきちんとできなかった。チャーは衰弱して息絶えているのではないか――避難先でそんな心配に沈んだ。

が、現実は逆だった。足かけ9日後に帰宅すると、ちゃんと4本足で歩けるようになっていた。排便もできるようになっていた。それからさらに1年近く生きて、最後は眠るように彼岸へ旅立った。

 さて、ユウジロウを埋葬して1週間後、いわば「初七日」の日曜日。魚屋さんへ行くと、イワシがあるという。新鮮で甘い記憶がよみがえり、自然に歓声がもれる。

前に写真を撮ってブログにアップした話をした。「次は映(ば)えるように盛り付けなくちゃ」という。その通りに、よりきれいに盛り付けてくれた=写真。

隠居の庭にチャーの墓がある。レンも、サクラも眠る。今度はユウジロウが加わった。イワシをつつきながら、供養を兼ねて猫たちに思いがめぐった。

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