元日の朝に新聞が届くと、まずやることがある。折り込みチラシは、この日が1年で最も多い。
9年前の平成26(2014)年にふと思い立って、枚数を数えてみた。全国紙2紙、県紙1紙を合わせた平均は53枚だった。以来、元日には記事を読む前にチラシの枚数を数えて記録しておく。
今年(2023年)は県紙が46枚、全国紙が32枚だった。去年の拙ブログを引用しながら、その増減を振り返る。
平成30(2018)年から今年まで6年間の変動を見ると、県紙が68―59―69―59―56―46枚、全国紙が40―36―41―45―34―32枚。確実に下降線をたどっている。
今は元日だけでなく、毎朝、新聞のチラシを数える。令和2(2020)年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響で折り込みチラシが激減した。で、その増減を記録し始めた。今はだいぶ盛り返してきた。
さて、元日の新聞の中身だが――。1月4日にも紹介したが、全国紙ではベラルーシのノーベル賞作家、スベトラーナ・アレクシェービッチさんのインタビュー記事に引かれた。
記事によれば、アレクシエービッチさんは、今はドイツの「ベルリンで事実上の亡命生活」を送っている。
彼女は、母親がウクライナ人、父親がベラルーシ人だ。旧ソ連時代のウクライナ西部で生まれ、ロシア語で執筆活動を続けてきた。
戦争や原発事故など、「社会や時代の犠牲となった『小さき人々』の声に耳を傾けてきた」彼女から、「絶望の淵に立つ人々」(具体的にはウクライナの人々だろう)にとってよりどころとなるものは何か、ヒントが得られるかもしれないというのが、記者の問題意識のようだった。
絶望を救うのは日常そのもの――。読者である私自身もまた、この言葉に救われた思いがした。
ほかには、古巣のいわき民報が元日付の第3部で「草野心平生誕120周年記念特集」を組んだ=写真。執筆者は、いわき市立草野心平記念文学館の現・元学芸員などで、私もいわきの背戸峨廊(セドガロ)と川内村の天山文庫をテーマに2本寄稿した。
やはり、私は活字の人間であることを再認識した。新聞を読んでいると、想像もしなかった事故や事件に出合う。なぜ、そんなことが? 少なくとも「なぜ」を起点にして、人間を、社会を考える。
活字メディアでメシを食ってきた人間は、新聞にはまだまだ可能性がある――そう思える元日の特集記事だった。
地域紙は、ニュースペーパーであると同時に、コミュニティペーパーでもある。新聞社の人間だけが新聞をつくっているのではない。コミュニティの人間が読者文芸や読者の声、文化欄の執筆などを通して、新聞づくりに参加している。そういう協同作業がしっかり根付いているかどうか、だろう。
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