2023年1月7日土曜日

ウクライナ民話『てぶくろ』

                             
 わが家の近くに故義伯父の家がある。自宅に収まり切れない本を運んだが、もう置く場所はない。カミサンも主に、子どもが小さいころ買って読み聞かせた絵本を移した。

 年が明けるとすぐ、カミサンが故義伯父の家から絵本を1冊持って来た。エウゲーニー・M・ラチョフ絵/うちだりさこ訳『てぶくろ』(福音館書店)=写真=で、表紙には「ウクライナ民話」、奥付には「1965年発行」「1989年第67刷」とあった。

1989年には、もう子どもは高校生になっていたから、あとで「子ども文庫」用に手に入れたものだろう。

 じいさんが雪の降るなか、森を歩いていて、右の手袋を落とす。すると――。まず、ネズミが手袋を「すみか」にする。次に、カエル。そして、ウサギ、キツネ、オオカミ、イノシシ。最後はクマまで手袋をすみかにする。今風の言葉でいえば、小さな手袋が大きなシェアハウスになった。

 ネットでいろいろ検索しているうちに、ロシアのウクライナ侵攻直後、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でこの絵本ともう1冊、ロシア民話の『おおきなかぶ』に関心が高まっていたことを知った。

-CASTニュースが3月2日付で取り上げていた。J-CASTとは東日本大震災のあと、縁ができた。取材がしっかりしているので、安心して読める。

それによると、『てぶくろ』には最後に大きなクマが入る。クマはロシアの象徴だ。「穏やかに絵本が楽しめる日々が戻るように」というネット民の声を紹介していた。

 『おおきなかぶ』は家族と動物が力を合わせて、大きなカブを引っこ抜く話だ。これにも「みんなで力を合わせて仲良くしてくれるといいな」という願いがこもっていた。共生・共存と助け合い。庶民の根底にあるのはこれに尽きる。

 それを踏まえて、あらためて『てぶくろ』を開く。最後は、じいさんが落とした手袋を探しに戻る。生きものたちは三々五々、森の中へ消えて、手袋は無事、じいさんの手に戻る。

 『おおおきなかぶ』(福音館書店、1962年)は彫刻家の佐藤忠良画/内田莉莎子再話となっている。こちらは彫刻家の絵が広く知られている。

 やはり、この絵本も故義伯父の家にあった。じいさんが大きく育ったカブを引っこ抜こうとするが、びくともしない。それで、ばあさん、孫娘、犬、猫、ネズミまで手伝って、「うんとこしょ、どっこいしょ」とやって、やっとカブを抜く。

 いわき市立美術館で去年(2022年)の11月5日から12月18日まで、企画展「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」が開かれた。美術館の広報にはこの絵本の表紙絵が使われていた。私もそうだが、それだけで懐かしく思い出す人がいっぱいいたことだろう。

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