夏井川渓谷にある隠居の庭は猛禽の食堂、ということを前に書いた。最近、えじきになったのはジョウビタキの雄かもしれないと、1月10日付のブログで紹介した。
――隠居の玄関そばにカエデの若木がある。その近くに小さな鳥の羽が散乱していた。全体に灰色っぽい。一部、先端が橙色のものもあった。
前にも鳥の羽がまとまって落ちていたことがある。拙ブログによると、2年前の2月13日の日曜日、母屋と風呂場をつなぐ坪庭に茶色がかった羽がいっぱいあった。
それから1年半たった去年9月4日の日曜日。菜園と県道側の土手の間に植えてあるアジサイの根元に黒っぽい羽根が散らばっていた。
隠居は、ふだんは人けがない。それを知る猛禽が安心して食堂に利用しているようだ。同一個体か、別々の個体かはわからない。オオタカかどうかもむろん不明だ。
鳥の羽の模様と色から、坪庭のものはツグミらしかった。菜園の方は、ヒヨドリのようだが、キジバトの線も捨てきれない。たぶん、キジバト。そんなところで検索は終わった。
今回はどうか。小さな羽の灰色と、かすかな橙色から連想できる鳥は、ツグミでなければジョウビタキの雄だ。
それをキーワードに検索すると、似たような羽に出合った。やはり(というか、たまたまだが)、ジョウビタキの雄の「上尾筒(じょうびとう)」らしいことがわかった。
断定はむろんできない。が、秋、隠居の庭に真っ先に現れた冬鳥がジョウビタキの雄だった――。
1月15日に隠居へ行って、いつものように土いじりをしたあと、ジョウビタキの羽は、と見ると……。前は気づかなかったが、8センチ前後の羽が2本落ちていた=写真。1本は全体に黒っぽい。もう1本は半分近くが白い。これは調べやすい。
ジョウビタキの雄であることを裏付ける証拠になるかもしれない。それが一つ。もう一つは、そうではないことがわかるかもしれない。いずれにしても、何の鳥の羽か知る作業がはかどる。
新しく見つけた羽が、なんという鳥の、なんという部位のものか確かめるため、隠居からいわき駅前にあるラトブの図書館に直行する。
おやっ? 駅西の並木通りを歩いている人が似たような紙袋を持っている。ラトブの地下駐車場も出入りする車がふだんよりは多い。人の動きを見ているうちに合点がいった。いわき駅とつながるJRの「エスパルいわき」がこの日、開業した。
図書館から笹川昭雄『日本の野鳥 羽根図鑑』(世界文化社)を借りたあと、カミサンに引っ張られてエスパルいわきの中に入る。人でごった返していた。買い物どころではない。あとでゆっくりのぞくことにして帰宅した。
さっそく図鑑で羽を照合する。ホオジロの尾羽だ。上尾筒も、私が拾ったジョウビタキの雄のそれと似ている。図鑑には、ジョウビタキの上尾筒は載っていない。犠牲になったのはホオジロだったか。
しかし、と思う。なぜ前にこの羽に気づかなかったのだろう。上尾筒よりは大きいのに、目に入らなかった。新しく猛禽のえじきになったということはないのか――そんな疑問も少しわいた。
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