2023年1月19日木曜日

灯油が切れる

                                
 たまたま買いに行くのを怠って、灯油が切れたことがある。石油ストーブ=写真=とヒーターが消えると、一気に部屋が冷え込んだ。すぐポリ缶を車のトランクに積んで、ガソリンスタンドまで買いに行った。

 日本では、まだ、というか、灯油が欲しいときにはすぐ手に入る。しかし、ウクライナではどうか。民間人や電力などのインフラを標的にしたロシアの攻撃が連日のように続いている。

 最近も中部ドニプロペトロウスク州の州都ドニプロ市で集合住宅が攻撃され、多数の死傷者が出た。

理不尽な無差別攻撃にさらされたウクライナの国民は、ロシアへの怒りを“燃料”に寒さを耐えるしかないのか。

なぜロシアはここまで非道になれるのか。このところずっと、ウクライナとロシア関連の本を読んでいる。新聞もときどき、切り抜く。

プーチン大統領の人となりが一番気になる。朝日新聞の専門記者(駒木明義氏)が書いた年末のコラムにこうあった。

「自らは安全とぜいたくを享受しながら、国民を強制的に動員して前線に送り込む(略)。長引く戦争に社会が疲弊する中で、国民に寄り添うことなく自らの力ばかりを誇示しても、行き着く先は哀れむべき『裸の王様』だろう」

図書館の新着図書コーナーに、キャサリン・ベルトン/藤井清美訳『プーチン  ロシアを乗っ取ったKGBたち 上・下』(日本経済新聞出版、2022年)が並んでいた。これも借りて読んだ。

KGBとはソ連国家保安委員会のことで、アメリカでいえばCIAに当たる。プーチン大統領はこのKGBからのし上がってきた。

著者は「ファイナンシャル・タイムズ」紙のモスクワ特派員を長年務めたジャーナリストで、かなりの数の人間にインタビューをしてこの本を書き上げた。

中身がなんともおぞましい。本のカバーの折り返し部分に要約が印刷されている。今回はそれを引用するのが一番のようだ。とてもじゃないが、プーチン大統領がこれまでやってきたことを、普通の市民がまとめきれるものではない。

「本書は、プーチン勢力がいかにロシアを変質させ、食い物にし、世界を混乱させてきたのかを、元FT記者が冷静なタッチで明らかにするかつてないドキュメント」だ。

「主要な関係者との独占インタビューを通して、プーチンの周囲が民間企業を容赦なく押収し、経済を乗っ取り、数十億ドルの資産を洗浄し、経済犯罪/政治権力の境界をあいまいにし、司法を駆使して敵を弾圧し、西側に影響を拡大していく様を解明する」

前出のコラムで駒木氏はこう締めくくった。毎年12月に開いてきた大型記者会見を中止するような、「そんな小心者にロシアの若者は戦地に送られ、ウクライナの人々はミサイルの雨を浴び続ける。陰鬱な年の瀬である」。

年が明けても状況は変わらない。いや、『プーチン』を読んで、さらに陰鬱さが増した。

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