2019年9月19日木曜日

アレチウリに覆われた木

この時期、全国至るところで見られる現象かもしれない。夏井川の堤防を行くと、ところどころ、アレチウリが土手を覆い、木を覆っている=写真(右岸の平・山崎地内)。容赦のなさに息をのむ。
 アレチウリは北米原産の1年生のつる性植物。日本では昭和27(1952)年、静岡で発見されたのが最初という。平成18(2006)年、特定外来生物に指定された。特に河川敷で分布を広げている。

夏井川のアレチウリに気づいたのは平成20(2008)年秋だった。アレチウリはおびただしい数の種をつける。こぼれた種を鳥が食べて、よそでフンをする。大水が上流から下流へと種を流す。それで一気に分布域が広がる。

 日本にもクズやヤブガラシといったつる性植物はある。アレチウリはそれさえも覆ってしまう。覆われた植物は日光を遮断され、やがて枯れる。アレチウリが侵略的な植物、といわれるゆえんだ。

 この10年余、秋になって遠出したときにアレチウリの有無をチェックしている。夏井川流域では渓谷、川前、小野町……。至るところに繁茂している。上流も下流もない。草刈りが行われる土手はさすがに目立たない。放置された土手では、在来の植物があっという間に“グリーンシート”で覆われる。

 アレチウリ駆除対策はどうなっているのか。いわき市は市民を対象にした「生き物調査」のなかで、アレチウリの分布を調べてはいる。夏井川などを管理する福島県いわき建設事務所はどうか。ボランティアを動員してアレチウリの除去作戦を展開した、といった話は聞かない。

 アレチウリ駆除は、ほかの植物を保護する意味からも抜き取りが効果的という。しかし、定期的に草刈りが行われているところでは、一緒に刈ればいい。草刈りは、農・山村の景観を守るための基本作業だ。侵略的な植物を防ぐ効果もある。これを続けていれば、ひとまず拡大は抑えられる。

個人としては、せめて自分の家の周りだけは生やさない、生えたら引っこ抜く、と決めている。でないと、家まで覆いつくされる。日よけになっていい、なんて悠長にかまえていられるほどつつましい植物ではないのだ。

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