2019年9月20日金曜日

「廃炉を知る」広報紙

 行政嘱託員をしているので、月に3回、市などから回覧資料が届く。1、10、20日に区役員を通じて隣組に配る。9月3回目のきょう(20日)は、これから地元の公民館まつりのチラシや赤い羽根共同募金の協力お願い、県の「廃炉を知る」広報紙=写真=など5種類の資料を区の役員さん宅に届ける。
 資料が来たから届ける――それだけなら簡単だが、市社協からの赤い羽根の場合だと、募金を入れる紙袋に隣組を表す数字を書き込む、隣組単位の領収書に区と区長のハンを押す、といった追加の作業が要る。募金の期限や届け先(区の役員)を記したチラシもつくる。資料も回覧だけなら隣組に1枚だが、全戸配布となると、それぞれ隣組の世帯分を数えないといけない。

きのう、朝食後にそれをやり、もう来ないだろうと一息ついていたところへ市から宅配便が届いた。回覧が2種類、各戸配布が1種類。急いで各戸配布の「廃炉を知る」広報紙を数えて、回覧資料とともに、隣組に届ける大きな紙袋に入れた。廃炉広報紙は初めて見た。

2度目の作業を終えると、昼になっていた。午後1時からは東電の旧経営陣3人に対する判決がある。NHKは1時のニュース枠を拡大するはず――昼食をとって、テレビの前に陣取ると、すぐ「3人無罪」の報が入った。訴訟支援団の落胆・無念・失望・怒りがテレビからあふれ出てくるようだった。4万人余に及ぶ原発避難者はむろん納得がいかないだろう。

その元凶は今、どうなっているのか。30分のニュースが終わってから、廃炉広報紙を読む。同広報紙は、県の原子力対策課が発行している。バックナンバーをチェックすると、年4回の季刊紙だ。二つ折りの広報紙に差しはさまれていたチラシには、①平成29(2017)年度から、主に原子力災害に伴う避難者を対象に発行・配布している②今回、より広く廃炉の現状を知ってもらうため、いわき市民にも配布することにした――とあった。

汚染水を処理する仕組み、処理水の貯蔵量、県が監視している項目などが紹介されている。アルプス(多核種除去設備)の処理水をタンクに保管する前に、汚染水はセシウム吸着装置をくぐり、淡水化装置を通る。処理水の貯蔵量は2019年6月末現在で101万トン、東京ドームの容積の約8割に達するという。

近所に住む避難者、廃炉作業に向かう早朝の車列、毎日テレビで報じられる各地の放射線量、野生キノコの摂取制限……。3人無罪のニュースに接した頭で廃炉広報紙を読んだせいか、こんな災禍を引き起こしたのはどこのだれなんだ、という思いが募る。

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