2019年9月15日日曜日

空調不具合で企画展が中止に

 金曜日(9月13日)の夕方、茨城県天心記念五浦(いずら)美術館から封書が届いた。「空調設備の不具合で、9月6日以降の企画展を中止することにした」とあった。同美術館のポスターをわが家(米屋)の店頭に張り出していた。こちらから連絡したわけではないが、いつのまにかポスターが届かなくなった。しかし、連絡先としてはまだ生きていたらしい。
 台風15号の影響? ネットで検索したら、茨城新聞の記事に出合った。不具合は7月上旬に発生した。冷温水発生器4台のうち2台が相次いで故障し、企画展示室の湿度制御ができず、作品展示が困難になっている、という。台風ではなく、メンテナンスの問題だった。

 空調設備がおかしくなったあと、企画展「入江明日香――心より心に伝ふる花なれば」が開かれた(7月20日~9月1日)。

入江明日香(1980年~)は「若手アーティストの中でもトップランナーのひとりとして、人気急上昇中」だという。開幕初日と翌日、作家本人によるギャラリートークが行われるというので、2日目に出かけた。作品と作家本人の話に触れて、ジャンルを超えた絵のおもしろさを知った。

なかでも「江戸淡墨大桜」=写真(絵はがき)=には引かれた。国指定天然記念物「根尾谷淡墨桜」をモデルにした横長の超大作(六曲一双屏風)で、「桜といえばお花見ということで、樹の下には、七福神をはじめ様々な人々の楽し気な宴会の様子を描いた」。宝船に乗っている七福神は、しかし4人。残る3人は絵の中のどこかに描かれている。2人はわかったが……。

 空調設備の不具合は台風のせいかも――と短絡的に思ったのは、千葉の停電被害の情報も影響していた。天心美術館からの封書が届く直前、フェイスブックで、停電復旧が遅れている理由のひとつとして倒木の多さがあげられていた。それも、「溝腐れ病」にかかっている杉が多いのだという。

 千葉県では、地元の銘木「山武杉」の挿し木苗で造林してきた。この杉は溝腐れ病に非常に弱い。樹齢が伸びるごとに断面が円形からハート形に食い込み、材としてはまったく価値のない森林が増えた。そうなると、間伐も伐採も行われずに放棄される。さらに、投機目的で売買され、所有者もわからないような状態になった。

台風が「そうした非常に脆い森林を襲い、各地でおびただしい数の倒木を生じ、架線修復を長引かせ、停電を長期化させてい」る。「僕らは明日も、チェーンソーを持って、とにかく倒木処理にあけくれ」る、とあった。根本的には森林・環境行政の怠慢が今日の事態を招いた、ということらしいが、ニュースでは報じられない視点ではある。

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