出口を勝手に入り口と解釈して入っていく――。若いときなら「マイルール」が目立つ女性ドライバーを連想したろうが、高速道などでの逆走事故が増えている今は、年寄りのドライバーが思い浮かぶ。そう呼ばれる年齢になった人間としては、ヒトゴトではない。街場でも危険なマイルールが日常化している証拠だろう。
年々、頭と体が衰えているのを自覚する。一日の時間でいえば、人生のたそがれ時に入った。
きのう(9月26日)、会津からやって来た1歳下の後輩(70)と外で一緒に“仕事”をしたあと、わが家へ移って高速バスの時間まで茶飲み話をした。
後輩は「文學界」新人賞を受賞したあと編集者に転じ、雑誌「男の隠れ家」や「一個人」の初代編集長を務めた。ともに団塊の世代だ。自分たちの来し方行く末の話になった。人口が突出して多い。長髪・ミニスカート、平凡パンチ、即席ラーメン、出版物、ファミリーレストラン……。団塊の世代はいつも流行や消費の中心を占めた。
団塊の世代は間もなくこの世から退場する。団塊の世代をターゲットにした最後のビジネスは葬式だろう。しかし、葬式のかたちも家庭葬や樹木葬といった質素なものが増えてきた。団塊の退場とともに、葬儀場も淘汰の時代に入るのではないか。
その前に――。団塊の運転がマイルール化して、「こちらは出口専用です」と呼ばれる状況が多発する? それを恐れるからこそ、運転免許更新に伴う高齢者講習制度が生まれたのではないか。
7月に同講習を受けた。原点を忘れて、①発進する際にサイドミラーしか見ていない=ちゃんと身を乗り出して後ろを見るように②「止まれ」の標識があるところで交差点に入ってから止まった=交差点の手前で止まるように――と指摘された。
東京都内に住む同級生の一人は運転免許を返納した。「こちらは出口専用です」を見て感じた「包囲網」とはこのことだ。地方に住む人間は、しかしまだまだ車が欠かせない。
あした(9月28日)は夏井川渓谷の隠居でミニ同級会が開かれる。首都圏方面の人間は全員電車で来る。しかし、いわき駅からは車でないと「ポツンと一軒家」みたいなところへはたどり着けない。
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