キュウリは終わり、三春ネギの種をまく準備が始まった。電車は乗り遅れても次がある。が、野菜は種まきの時期を逃すとうまく育たない。さいわい、その時期が近づくと、体がタイムスケジュールを思い出す。
まず、キュウリ。地元いわきの種屋さんからポット苗を二つ買って、夏井川渓谷の隠居の庭に植えたのが5月下旬。6月末には最初の3本を収穫した。初物なので、1本は生のまま味噌をつけて食べた。それから生(な)る数が徐々に増え、7月下旬から8月下旬にかけては、二つの株から一度に14本採れたこともある。それを週に2回、採りに通った。1株から80~90本は採れたのではないか。
キュウリを生産し続けること2カ月半、さすがに株も力が尽きてきた。先の日曜日(9月22日)に見ると、人間の小指大のものが3本、生長を止めたままぶら下がっていた。これを採って、晩酌のときに味噌をつけて食べた。地元の人たちは最後の収穫物を「終わり初物」という。情けないほど小さい終わり初物だが、いっぱい生ってくれたことには感謝した。
終わるものがあれば、始まるものがある。三春ネギは10月10日前後に種をまく。春にまくいわきの平地のネギと違って、秋まきだ。役目を終えたキュウリの株の隣を苗床に決め、草を引いて石灰をまいた=写真。今度の日曜日前後には肥料をまいて土をほぐす。
今年(2019年)のネギ苗は今までにないほど順調に育った。4月28日、定植用に溝を切り、ネギの苗床をほぐして太い苗を植えた。ところが、梅雨の日照不足と長雨がたたって、とろける苗が続出した。
夏場は酷暑になり、一時的に持ち直したものの、また秋の長雨だ。8月最後の日曜日(25日)、別の場所に溝を浅く斜めに切って、ネギを伏せ込んだ。
隣の田村市や小野町では、これを「ヤトイ」と呼ぶ。ヤトイをしないと全部とろけてしまう、そんなところまで追いつめられた。地中の湿気をこれで減らすことができる。曲がりネギになる。しかし、今年はもう食べるどころではない。来年の採種用に残すだけで精いっぱいだ。
種をまく。芽が出る。越冬した苗を初夏に定植する――その一点に集中するしかない。人間ではなく、ネギの都合に合わせて動くしかない。これを間違えなければ、あとはネギと天気のやりとりを見守るだけでいい。趣味の菜園だが、基本はプロもアマもない。
0 件のコメント:
コメントを投稿