2019年9月4日水曜日

広域農道上岡トンネル

 いわき市四倉町と小川町の丘陵を結ぶ「福島県広域農道」の全ルート約10キロがやっと頭に入った。
その象徴ともいうべき上岡トンネルは両地区の境、標高200メートルほどの山頂にある。トンネルはずいぶん前に完成したが、なぜかバリケードが設けられて利用することができなかった。

それだけではない。小川分は福岡地内で突然、途切れるように終わっている。上岡から四倉・柳生へ下り、石森山を越えて帰宅する、あるいは逆のルートで夏井川渓谷の隠居へ行く――ということをたまにする人間にも、トンネルから東、四倉分がどうなっているかは、皆目見当がつかなかった。

 先週、上岡トンネルが通れるようになったと、若い知人から教えられた。おととい(9月2日)早朝、夏井川渓谷の隠居へキュウリを採りに行った帰り、上岡トンネルの“くぐり初め”をするため、小川の平地から国道399号を駆け上がって二ツ箭山腹の広域農道に出た。

 トンネルの手前、旧道へ誘導するバリケードが確かに取り除かれていた=写真上。ゆっくりトンネルの中に入る。少し左へカーブした先に明かりが見える。そう長いトンネルではない。

 トンネルを抜けると仰天した。これが農道かと疑いたくなるような“天空のハイウエー”が続く。右手下方に小集落が見える。橋を渡る=写真下。道路はゆるやかにカーブしながら高度を下げる。どこまで行くのか、どこへ出るのかと思っていたら、平地に下りて小さい川を越え、県道八茎四倉線に合流した。起点は四倉・玉山だ。
 あとで地理院地図とグーグルアースで確かめる。地理院地図では2カ所が点線で未整備区間、仁井田川に架かる橋のところは無印、点線もなにも描かれていない。グーグルアースでは、その近くに橋脚のようなものが映っている。できたてほやほやの橋と道路だった。

 このなんとも中途半端な広域農道が気になって仕方がなかったのは、東日本大震災を機に、福岡から隣接する高崎へと延伸し、夏井川のそばで県道小野四倉線と接続する「【復興】広域農道整備」工事が始まったためでもある。

渓谷の隠居への行き帰り、工事現場が目に入る。看板には「新しい農道を造っています」「新しい橋を造っています」といった文字がおどる。「新しい橋」とは、県道とそれに並走するJR磐越東線をまたぐ立体橋のことだろう。「新しい農道」の規格も、二ツ箭山腹を走っているので想像がつく。

これで、夏井川渓谷の隠居への行き帰り、天空のハイウエーを利用する楽しみが増えた。終点部が完成すれば、牛小川(渓谷)~二ツ箭山~上岡~玉山~わが生活圏と、大回りしながらも時間距離は短縮されるかもしれない。牛小川からいつもの魚屋さんへカツオの刺し身を買いに直行するには近そうだ。対向車両はゼロ。心配があるとすれば、イノシシとの衝突事故だけ。

 実際、ウリ坊たちと遭遇した山中の“ハイウエー”が別にある。夏井川渓谷の牛小川を起点に、神楽山(かぐらやま=標高808メートル)の裾をまくようにして、川前町・荻(おぎ)に至る広域基幹林道上高部線(地元の人間は“スーパー林道”と呼んでいる)だ。こちらは、幅員は5メートル、延長は14キロ。広域農道はそれより道幅が広い。破線のセンターラインが引かれているのでわかる。

 農林業とは縁がなくても、これらの“ハイウエー”を頭に入れておくと便利だ。小川から川内村下川内へ行くには、国道399号ではなく、“スーパー林道”を利用する。道の両側には草が生い茂り、車に向かって「うらめしやー」とやっていても、ときどき山里巡りを敢行する人間には役に立つ。

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