2019年9月17日火曜日

今ごろネムの花が

 日曜日(9月15日)の昼前、夏井川渓谷の隠居へ出かけた。渓谷の入り口、JR磐越東線磐城街道高崎踏切を過ぎるとすぐ、カミサンが声を発した。「ネムの花が咲いてる!」。帰りに車を止めて花を撮影した=写真下。
平の市街地と夏井川溪谷を結ぶ県道小野四倉線(途中、国道399号と重複)沿いに何本かネムノキがある。毎年、暦が7月に替わるころ、花が咲き始める。

狂い咲きだろうか。ネットで9月のネムの花をチェックする。夏に咲いていったん中断し、9月になって開花を再開するネムノキもある、とあった。渓谷入り口の、このネムもそうか。それがネムの習性だとしたら、ほかにもネムが咲いていていいはずだが、花はそこだけだ。

ネムは梅雨の花だ。今年(2019年)は、梅雨が長引いた。日照時間も短かった。夏は、逆に猛烈な暑さになった。月遅れ盆が過ぎると、梅雨のような天気が戻ってきた。「秋の梅雨」にネムが勘違いして花を咲かせたかと思ったが……。ネットにあった二度咲きのネムは、すでにさやを垂らしていた。渓谷のネムには、さやはない。やはり、ただの遅咲き?
 野生の生物は難しい。梅雨に幼菌(マメダンゴ)を食べるキノコのツチグリもそうだ。もう9月中旬だというのに、隠居の庭にマメダンゴが現れた=写真上。梅雨のような天気に勘違いした?

いやいや、よく考えれば、梅雨に地中で形成された幼菌が地表に現れ、これから胞子を放出する準備に入ったところらしい。これについては2年前の観察記録があるので、わかった。それを抄録する。
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【6月】25日=地面から茶色い頭の一部(マッチ棒の軸先大~人間の小指大)がのぞいていた。右手人さし指でグイッとやると、転がり出た。周囲の地中にも同じ球体の感触がある。そちらもまさぐると、マメダンゴが現れた。二つに割ると、全部白い。炊き込みご飯にして食べた。
               
【7月】2日=スポット的にマメダンゴが頭を出す。その数ざっと50個。次の週は、変化なし。16日=白っぽい表面の色が茶黒くなる。23日=裂開を始めた個体がひとつ。

【8月】13日=全体を地上に現した個体がある。パチンコ玉大だ。24日=試しに大きいものを踏むと、「プシュッ」とかすかな音がして裂けた。

【9月】3日=表面にひびの入った個体がいくつか現れる。ひびは十字状、あるいはベンツのエンブレム似とさまざまだ。コロンと地上に現れた個体を二つに割ると、中がチョコレート色だった。胞子の放出まで時間の問題だ。10日=裂開が近そうな個体が増える。24日=キノコ図鑑に出てくる、ヒトデにホオズキの実をくっつけたような残骸=星型のツチグリになっていた。ツチグリの最終形だ。
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日曜日のツチグリは、大きいのでは径2センチ。最終形に近い形だった。これから外皮が割れてヒトデ、いやホオズキの葉のようになり、内側の球形のてっぺんから、雨粒を受けてへこんだ反動を利用して胞子を放出する。ネムノキの花も、ツチグリも観察が足りないだけだった。

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