2020年4月15日水曜日

ACジャパンのCM

 東日本大震災の直後、テレビで公益社団法人・ACジャパンの公共広告が流れた。記憶にあるのは金子みすゞの「こだまでしょうか」と、宮沢章二の詩「行為の意味」を抜粋した<「こころ」は/だれにも見えないけれど/「こころづかい」は見える//「思い」は/見えないけれど//「思いやり」は/だれにでも見える>。
 ACジャパンのCMは、テレビ・ラジオだろうが新聞・雑誌だろうが、掲載してもカネにはならない。言葉は悪いが穴埋め用だ。有料のCM枠が急きょ、災害などでキャンセル(自粛)になる。3・11直後は、それでテレビにACジャパンのCMがあふれた。あまりの多さに視聴者はうんざりした。

 新型コロナウイルス問題でスポンサーがCMを自粛し始めたようだ。ACジャパンのCMが目に留まるようになった=写真。国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンを取り上げ、最後に「この活動を支援しています」という字幕が入る。

 このCMに刺激されて二つのことを考えた。一つは、私がかつて身を置いていたメディアに新型コロナウイルスが及ぼしている(だろう)影響。もう一つは、私も関係しているシャプラニール=市民による海外協力の会など国際NGOの活動について。

 茶の間からの感想としていえるのは、コロナ禍以後、新聞の折り込みチラシが減ったことだ。なかでも、パチンコ店のチラシが3月10日から入らなくなった。毎朝、パチンコ店のチラシの有無をチェックしてきた。パチンコ店のチラシは例外なくA3の大きさで、ほとんどが片面刷りだ。裏側を落書きやメモ用紙に利用できる。それが止まった。

記者たちの苦労も尋常ではない(はずだ)。イベントの中止・延期で取材する対象・材料がなくなる。コミュニティメディアほど紙面を埋めるのに追われる。人に会って話を聞く・写真を撮るといった、テレワークとは縁遠い仕事だ。だれか1人でもコロナに感染したら、たちまち発行停止になってしまう。そんな心配も膨らむ。

 ACジャパンのCMの中身はこうだ。この地球という星では、子どものいる学校や遊び場に爆弾が降ってくるところがある。戦争・内戦・紛争が絶えない。子どもが労働を、14歳以下の少女が早すぎる結婚を強いられているところがある。こうした現実(物語)を変えよう――。

 セーブ・ザ・チルドレンという国際NGOを知るチャンスではある。私はたまたまシャプラニールと関係していたので、ぼんやりとだが記憶があった。

例えば、3・11のときのシャプラ代表理事・中田豊一さんは、シャプラ職員~セーブ・ザ・チルドレン事務局長を経て、シャプラ代表理事になった。シャプラの支援活動に合わせて、いわきにも足を運んだ。シャプラとセーブ・ザ・チルドレンは、いうならば目的を同じくする“同業他団体”だ。

 ACジャパンの、子どもの「物語を変えよう」CMに賛同しつつ、私はその裏にあるメディアの記者、営業、販売店の人間たちの踏ん張りを見守るしかない。

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