2020年4月18日土曜日

「日本は甘いよ」

「日本は甘いよ」。電話の向こうで、スペイン中部に住む画家がいう。いわき出身の阿部幸洋。ラ・マンチャ地方、トメジョーソでカンバスに向かう日々――。食料などの日用品は息子同然のラサロが調達する。
 ヨーロッパではイタリアとスペインで、新型コロナウイルスの死者が突出している。4月17日午後3時現在の死者数は、イタリア2万2170人、スペイン1万9315人。トメジョーソの様子は? カミサンがおととい(4月16日)の夜、電話をした。

 トメジョーソだけで200人ほどが亡くなった。老人福祉施設など3カ所でクラスター感染がおきた。都市封鎖(ロックダウン)が続いている。軍隊が出て道路を封鎖している。理由もなく外出すると罰金が科せられる。バル(軽食喫茶・酒場)も閉鎖されている、という。そんな状況の国から母国・日本を見ると、冒頭のような言葉になる。

 その日本では、おととい(4月16日)、東京都などの大都市圏だけなく、すべての地域に緊急事態宣言が出された。感染者が出始めたいわき市でも、きょうから大型連休明けの5月6日まで、「感染防止一斉行動」が実施される。
 
そのうち、市が実施するのは①小・中学校の一斉休校②幼稚園・保育所・放課後児童クラブの一斉休園③公共施設の原則休館――などだ。

 この「行動計画」を市民の側からみると、子どもが毎日家にいる、図書館や美術館・文学館へ行っても開いていない、ということになる。しかし、目的は「人と人との接触8割削減」だ。2メートル以上の距離を保った散歩やジョギングはかまわないという。当然、人との接触がない土いじりや山菜採りはOKだろう。

わが家の場合は、一緒に住んではいないが中1と小5の孫がいる。ヒマを持て余すのではないかと案じられる。関係している区内会やいわき地域学會の会合・行事は延期・中止、ないし書面配布に切り替える。在宅ワークに集中して外出=接触自粛を続け、合間に庭や鳥・花を眺めて気分転換を図る=写真(雨上がり、カエデの枝にたまった水滴。拡大すると、ちょうど朝日が映って光を放っていた)。

9年前には原子力災害による緊急事態宣言が出された。9日ほど避難した。知り合いの若い記者のフェイスブックで思い出したのだが、この宣言はまだ解除されていない。そこへ二つ目の宣言が出た。

100年前のスペインインフルエンザ(スペイン風邪)のときには、大正7(1918)年8月下旬に流行が始まり、10月上旬に蔓延して11月には患者数・死者数が最大に達した。さらに、翌年10月下旬、2回目の流行が始まり、同9年1月末が流行のピークになった。

今度のコロナだって、いったん鎮静したようにみえても第2波、第3波がくる。北海道ではすでにそうなっている。「日本は甘い」「第2波、第3波がくる」――画家の言葉を肝に銘じて、ぶり返しを覚悟して、コロナに向き合うしかない。

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