2020年4月21日火曜日

花に色がついているワケ

 日曜日に夏井川渓谷の隠居へ行くと、ラジオ(NHK第一)をかけっぱなしにする。おととい(4月19日)は朝10時半ごろから午後1時まで、「子ども科学電話相談」をやっていた。土いじりに疲れると、隠居に戻ってごろごろする。ちょうどそのとき、小2の子の質問が耳に入った。「どうしてお花は色がついているんですか」
 庭のシダレザクラは、ピンクの花が満開だ。対岸のアカヤシオ(岩ツツジ)やヤマザクラも、少し前まで見事なピンク色だった。アセビは白色。いろんな色がついているのはなぜだろう。先生の答えは、目立った色で昆虫を誘い、花粉を運んでもらうため、というものだった。

 きのうのブログで、シダレザクラの樹下からアミガサタケを3個採った話を書いた。ヤマザクラの樹下にもあるのでは……。対岸の森へ足を運んだことも書いた。ヤマザクラの樹下まではたどりつけなかったが、林内には常緑低木のミヤマシキミの白い花が咲いていた。冬にはルビーの実がよく目立つ。

 近くの「木守の滝」の水がいつもの倍以上の勢いで落下していた。短い間に二度も嵐のような低気圧が通過した。めったにない水量だ。それを、スポーツモードで連写した=写真上1。

 と、そこへ突然、熟年カップルが現れた。人間と人間の接触を避けるため、いつもそうするように、日曜日、渓谷の隠居へ出かけて、たまたま森巡りをした。同じ思いを抱いて渓谷へ息抜きにやって来たのだろう。めったにないことが滝の前でおきた。
 滝の撮影をすぐ切り上げて隠居へ戻る。途中、巨大な落石の上にタチツボらしいスミレが咲いていた=写真上2。ちょうど私の背丈と同じ高さにある。少し下からアップ気味に撮った。花は清楚な薄紫色。

ミヤマシキミの白色、タチツボスミレの薄紫色も、昆虫を誘うサインなのだ。こういう時期だからこそ、花は人間にとっても眼福になる。

 隠居に戻って庭をぶらついていると、滝の前で会った女性がまた現れた。シダレザクラの花を撮らせてくれという。そばで草むしりをしていたカミサンは、シダレザクラが喜ぶから「どうぞ、どうぞ」だ。私はびっくりして、少しの間棒立ちになった。人の家の庭まで入り込むのか。
 女性が帰ったあと、樹下に立ってアミガサタケの気持ちになってみる。雲が流れている。切れ間に青空がのぞく=写真上3。「どうしてお花は色がついているんですか」。花をキノコに置き換える。「どうしてキノコは色がついているんですか」。キノコに関しては、理由がよくわかっていない。理由がないのかもしれない。

 虫を誘うのは、色ではなくて、匂い――そんなキノコがある。「派手な色のキノコは毒」というのは迷信。同じ真っ赤なキノコでも、ベニテングタケは毒、タマゴタケは食菌だ。子孫繁栄の方法も、キノコは一般に傘裏で形成された胞子が風で拡散されるような傘の形になっている。流体力学的に説明できるのだという。

子嚢菌類のアミガサタケは、かたちは独特だが胞子の拡散は風まかせだろう。互いにウイルスを放出するかもしれない人間より、胞子を放出するキノコの方が、谷間ではいとおしい。

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