2020年11月10日火曜日

渓谷で人と話す

日曜日(11月8日)はやや風が強かったものの、よく晴れて行楽日和になった。夏井川渓谷は朝からマイカーが行き交い、紅葉を楽しむ人たちでにぎわった。籠場の滝~錦展望台付近は、アマチュアカメラマンが思いおもいに陣取り、谷のカエデや対岸の紅葉を写真に収めていた。

JR磐越東線江田駅前も終日、行楽客でにぎわった。早朝8時、同駅前を通ると、田村郡小野町のNさんが奥さんと直売所を開く準備をしていた=写真。1週間前、曲がりネギを注文した。ネギを受け取りながら、いわき民報の「夕刊発・磐城蘭土紀行」の話で盛り上がった。

拙ブログは5月中旬以降、古巣の夕刊(いわき民報)と連動し、「夕刊発――」として随時、活字化されている。Nさんの直売所の話が10月31日に載った。その新聞を渓谷に住むKさんがNさんに進呈した。

11月7日付は続編で、10月31日付を読んで直売所を訪ねた人がいる、新聞が人と人とをつなぐ触媒になった、という話を書いた。が、第三者を介した情報のため、私自身、正確に事実関係をつかんでいたわけではなかった。おとといの日曜日に直接Nさんと話し、Kさんに会って、「夕刊発――」を介したやりとりを確かめた。

10月31日付を読んで直売所へやって来た人が何人かいる。知人のYさん(四倉)もそうだったかどうか、今となっては自信がない。が、直売所を訪れたYさんにNさんが言った。「もし知りあいなら、記事にしてくれて感謝している、よろしく伝えてください」。伝言を託されたYさんはさっそく、わが家へやって来た。以上が第一幕――。

第二幕ははからずも“国際交流”になった。隠居に着くとほどなく、後輩がペルー出身の女性とやって来た。実は早朝、メッセージが入って草刈りをするという。女性は彼のスペイン語の先生で、紅葉が目当てだった。

その間、私は近所のKさん宅を訪ねて、お茶をいただいた。家の裏の杉林では憩いの場づくりが進んでいる。対岸の紅葉が一望できる。春になると対岸はアカヤシオの花で彩られる。そのころ、春日様の祭りが行われる。直会(なおらい)は3密を避けてKさんの裏山で、ということで意見が一致した。

隠居の草刈りが終わり、スペイン語の先生が紅葉見物から戻ってくるころには、風が弱まった。小春日が差す濡れ縁で洋菓子を食べ、コーヒーを飲みながら歓談した。後輩は海外勤務の経験がある。スペイン語は話せるが、習うことで語学力を維持するという面もあるのだろう。逆にいえば、彼女は後輩と遠慮なく母国語で話すことができる。

彼女はいわきに住む。もう来日して20年以上がたつ。日本語で十分会話ができる。大玉村とマチュピチュ村との交流、フジモリ元大統領やナスカの地上絵、アンデスの万年雪、フォルクローレの「コンドルは飛んでいく」といったことが話題に上った。外国人に慣れないのとコロナ禍のためか、「私の顔を見てギョッとする人もいた」。そう話すときには少し表情がかげった。

午後は用事があったので、早めに街へ戻った。渓谷を下り、平地に出る一歩手前の道路で、旧知の元市職員Aさんがネコ(一輪車)を押していた。彼の家の入り口に車を寄せて少し立ち話をする。私のブログに出てくる牛小川のKさんや、近くで行われている跨線(道)橋の工事などの話になった。これが、第三幕――。

 この日はどういうわけか、次々と人に会った。会って話すと、人の思いがわかる。なによりこちらの蒙(もう)が開ける。勉強になる。午後の遅くには第四幕、いつもの魚屋さんも含めれば第五幕があったが、それについては別の日に。 

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