2020年11月4日水曜日

前期の紅葉がピークに

        
 土曜日(10月31日)のいわき民報に載った拙ブログ活字版、「夕刊発磐城蘭土紀行」がコミュニケーションの触媒になったらしい――。

 東日本大震災後、地震・津波被災者と原発避難者の支援活動を通じて知り合ったYさん(女性)がいる。夏井川渓谷の直売所と紅葉に触れた「夕刊発――」を読んで、翌日曜日、渓谷へ出かけた。

JR磐越東線江田駅前の県道沿い(背戸峨廊=せどがろ=入り口付近)に、臨時に設けられた田村郡小野町のNさんの直売所で「四倉から来た」というと、Nさんが応じたそうだ。「四倉だか神谷だかから来る人がいる。その人を知ってるなら、よろしくいってください」

Yさんはすぐピンときたらしい。翌月曜日にわが家へやって来て、顛末(てんまつ)を報告した。

実は同じ日曜日の朝、Nさんが店開きをしていたので、そこからやや上流にある隠居へ行く前にとろろ芋を買った。ゴボウも並んでいた。が、肝心の曲がりネギがない。去年(2019年)はとうとう会わずじまいだったので、2年ぶりにあいさつを兼ねて聞いてみた。

「ネギは?」「ウチにはあんですけど」「欲しいな」「では、この次」「5キロぐらい」「わかりました」。Nさんの家で栽培している曲がりネギは、加熱すると甘くてやわらかい。大好物なので毎年買っていたが、この3年ほどは直売所に並ばなくなった。「特注」というかたちで持ってきてもらうことにした。

 さて、肝心の紅葉は――。テレビが伝える紅葉情報はカエデ。夏井川渓谷では広葉樹の紅葉がピークを迎えた=写真。まず非カエデで全山が燃えあがり、それが“下火”になったあと、谷のカエデが赤く染まる。そのカエデがようやく色づき始めた。

 東日本大震災前は、紅葉の時期になると、渓谷を縫う県道小野四倉線に長い路駐の列ができたが、この10年、そうした混雑を見たことがない。行楽客は年々ちょっとずつ戻っているとはいえ、まだ最盛期の半分にも至ってはいないだろう。

でも、コロナ禍の今年(2020年)は少し様子が違うようだ。江田駅前の夏井川べりにあるキャンプ場は日曜日になると車がびっしり止まっている。3日前の日曜日には、隠居の隣の「錦展望台」から子どもの声が聞こえてきた。震災後、谷間で聞かれなくなったのが、この子どもの声だ。

遠出はできないが近場の渓谷ならというファミリーや、市外・県外から人出を避けて渓谷へ、という人が多いのかもしれない。これもディープないわきに触れる「マイクロツーリズム」には違いない。

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