2020年11月6日金曜日

名前のわからない生きものたち

                      
 今は、ネットを使えば簡単に調べものができる。もちろん、なかなか「答え」にたどりつけなかったり、わからなかったりすることが多い。そのときは「保留」にしておく。別件で調べているうちに、偶然、ヒントを得たり、答えが見つかったりすることがある。

特に虫や花は変異が多くて、素人には同定が難しい。目的をもって虫や花を調べているわけではない。庭の花に虫が来た、山野を巡っていたら花が咲いていた――それはなんという虫で、なんという花?

「虫がいた」「花が咲いていた」では、コラムは成り立たない。個別・具体でモノ・コトに当たる。そうやって自然に接してきた結果、だんだん人間だけでなく、鳥獣虫魚も、植物も菌類も、同じいわきの風土に生きる“隣人”と思えるようになってきた。

だから、わからないものがあると(それが多いのだが)、とにかく調べる。撮影データがあれば細部を拡大してスケッチし、色や紋様の特徴をメモしておく。そうすれば、あとあと比較・検討する際の材料になる。そこから疑問がほぐれることがある。最近の例を三つほど――。

・8月23日=夏井川渓谷の上空を、気流に乗ってはばたかずに上流へ向かう大きな鳥がいた=写真下1。カラスよりは翼が大きい。シルエットのかたちからするとカモメ類だろうか、カワウだろうか。見当がつくのはそこまで。にしても、河口からざっと30キロは入った山あいだ。そのまま行けば阿武隈の分水嶺を過ぎる。そのあとどこへ行くのか。

・10月16日=平中神谷地内の夏井川にこの秋初めてコハクチョウが飛来した。望遠レンズを付けたカメラでカシャカシャやっていると、下流から上流へと水面すれすれに飛んでいく水鳥が視界に入った。そちらにすぐレンズを向けて撮影した=写真下2。ウミウかカワウか。データを拡大して、頭の黒さ、顔の白と黄色の具合からカワウと判断したが、普通のカメラではぼやけてわからなかったはずだ。

・10月27日=朝、庭で歯を磨きながらフヨウの花を眺めていたら、体長数ミリの虫が花の前でホバリングしていた=最初の写真。色からすると小さなミツバチ。でも、ニホンミツバチと比較しても、とても小さい。小さなハチがいるのか、ハナアブの仲間か、それとも全く異なる種か、今のところはわからない。「保留」にしている。

生きものの話のついでに、ヒトスジシマカ(ヤブカ)のことも――。最初に蚊に刺された日(おおよそ5月20日)と、最後に刺された日(おおよそ10月20日)を記録している。この何年かは最後の日が10月20日から28日にずれ込み、11月に入って刺されるのも時間の問題、というところまできた。

今年(2020年)は10月30日に刺され、31日にも現れた。パチンとやったのを見ると、体長は4ミリほど。これを写真に撮って拡大すると、ヒトスジシマカだった。11月のチクリもあるかと思ったが、今のところはない。

今年の立冬は11月7日、あしただ。そこまで生きて現れるかどうか。いや、現れないとはいえなくなった。この“隣人”は庭の鉢とかプラスチック容器などにたまった雨水がボウフラのときのすみからしい。(11月9日追記:8日午後4時過ぎ、11月としては初めて蚊に刺される)

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