11月になると、頭よりも先に体がムズムズしてくる。三和町へ白菜を買いに行かなくちゃ――。
わが家では、私が漬物担当だ。夏は主にキュウリの糠漬けを、冬は白菜漬けをつくる。11月の中~下旬に、糠漬けから白菜漬けに切り替える。最初の白菜漬けができると、糠床は食塩のふとんをかぶって冬眠に入る。
日曜日(11月14日)、三和のふれあい市場(直売所)へ出かけた。いつもは夏井川渓谷の隠居で土いじりをしてから、差塩(さいそ)の山を越えてふれあい市場へ行く。
半月前の10月31日がそうだった。梅干しや漬物、大根その他を買った。白菜はガマンした。
今回は逆ルートで最初にふれあい市場を訪ねた。前は1玉300円だった白菜が250円になっていた。鍋物や漬物にする消費者が増え、入荷する量も多くなったのだろう。白菜2玉のほかに、昼食用のおにぎりやフキの油いためなどを買った。
なぜ近くのスーパーではなく、三和の白菜なのか。10年以上も前のことだが、年末に三和の知人が自産の白菜を持って来てくれた。この時期、スーパーで売っているのは茨城以南の白菜が多い。知人の白菜を漬けると、明らかな違いがあった。南の白菜より甘い。
知人の話では、師走に入ると一面、銀世界になるときがある。同じいわきでも、平地では庭のスイセンが咲き、山地の三和では雪野原が広がる。この冬の寒さが白菜の糖度を増すのだという。以来、雪が降るまでは三和へ白菜を買いに行く。
白菜漬けの風味用のユズは、さすがに三和にはない。隠居からの帰り、平窪の国道399号沿いにあるJA「新鮮やさい館」で買った。前は日曜日が休みだったが、今は開いている。日曜日しか出かけられない主婦(夫)にはありがたい。
月曜日の朝、白菜をそれぞれ八つに割って天日に干した。漬け込むのは次の日、火曜日の朝食後。まずは去年(2020年)の漬け込みの様子=写真=をおさらいする。といっても、必要なものは全部体が覚えている。
台所を片付けて甕を出し、ユズの皮をむいて細かく刻む。唐辛子も同じように刻む。昆布も細かくする。食塩を用意する。最後に軒下から白菜を取り込む。
そうして漬け込み作業が始まる。甕のなかで白菜を持ち、葉の1枚ずつに塩を振り、底が見えなくなったところで、ユズやトウガラシ、昆布を加える。そのあと甕を90度回転させて同じことを繰り返す。
十字に積み上げること3回、白菜が4段になったところで今季最初の漬け込みが終わった。その間わずか40分。ひとまず冬の準備ができたことに安堵する。
去年までは減塩と暖冬で、すぐ甕の表面に産膜酵母が張った。今年(2021年)はそれを抑えるために、塩分を多めにした。
置く場所も明るい台所ではなく、北寄りの階段の下にする。そこは、家のなかでは一番ひんやりしているところだ。猫を飼っていたころ、夏になるとそのへんで昼寝をしていた。それを参考にした。
朝は甕からはみ出していた重しが、昼には沈んでいた。水の上がりがよさそうだ。このままいけば、週末には試食ができるかもしれない。
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